『スオミの話をしよう』男たちに「別れても愛してる」と言わせる、スオミの魔性──長澤まさみ主演の三谷幸喜にしかできない映画【おとなの映画ガイド】
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三谷幸喜監督5年ぶりの新作『スオミの話をしよう』が9月13日(金)、全国公開される。ラブストーリー、アクション、シリアスドラマ、そしてもちろんコメディまで、多彩な役を魅力的にこなしてきた長澤まさみが三谷監督と初めて映画でコンビを組み、色とりどりの顔をみせる、なんともゴージャスな作品の誕生だ。長澤演じる主人公スオミが失踪したことを知り、元夫の4人が現夫の大邸宅に駆けつけてくる。その男たちがまた今をときめく実力派俳優、西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎。彼らが入り乱れての、これぞ三谷幸喜タッチ!の映画です。
『スオミの話をしよう』
この映画の面白さをどう説明すればいいのか……。三谷監督が巨匠ビリー・ワイルダーをお好きなことは知られているけれど、例えば、そんなワイルダーのシチュエーション・コメディの粋さ、ハリウッドのオールスター・キャスト映画の醸し出す華やかな雰囲気、 ポアロやミス・マープルが大邸宅でおきた事件を解決していく、登場人物が多いミステリーのリッチさ、それらをすべて含んでいるような作品。
さらに、三谷監督は、黒澤明監督の最高傑作のひとつ、『天国と地獄』からこの物語を発想したというではないか!
『天国と地獄』といえば、三船敏郎扮する製靴会社の重役が誘拐事件に巻き込まれ、仲代達矢扮する警部らがそれを追う、息詰まるサスペンス。