蘆雪の「かわいい」に注目!『春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪』府中市美術館で
府中市美術館では2026年3月14日(土)より『春の江戸絵画まつり長沢蘆雪』展が開催される。2005年より続いた、展覧会シリーズ「春の江戸絵画まつり」が、今回で幕を下ろすことを受け、満を持して長沢蘆雪の作品を前期と後期で紹介する、東京では実に64年ぶりとなる「蘆雪展」だ。
人気絵師・伊藤若冲と同時代を生き、近年は若冲と同じく「奇想の画家」として知られるようになった長沢蘆雪(1754-1799)。円山応挙(1733 - 1795)の10人の優れた弟子「応挙十哲」に名を連ね、師が亡くなるまでその片腕として多忙な制作を手伝った。近代以降ながらく、そのアイデアと構成力は応挙を上回るものの、「覇気」がありすぎて落ち着きや深みに欠けると評されることが多かった蘆雪。しかし1970年、辻惟雄氏の名著『奇想の系譜』が出版されたことにより、その溢れ出る「覇気」はプラスに評価され、以来彼は、一躍、日本美術のスターとなった。
長沢蘆雪《南天狗子図(部分)》個人蔵前期展示
そして21世紀、蘆雪には「かわいい絵を描く絵師」という、さらなる評価も加わっている。風景や人物、ファンタスティックな世界などを、時にダイナミックに時に精緻に描いてきた蘆雪は、意外なことに子犬や動物、子どもなど、かわいいものも数多く描いた。
おそらくそこには、命あるものを慈しむ仏教や禅の思想が影響していると考えられる。同展の前期では、蘆雪の子犬を中心に、俵屋宗達や円山応挙など日本美術の巨匠たちが描いたかわいい子犬とその系譜を紹介する。
長沢蘆雪《虎図襖(部分)》無量寺・串本応挙芦雪館、重要文化財後期展示
後期には、特大の虎を描いた蘆雪の代表作、和歌山県串本町の無量寺の《虎図》と《竜図》が登場。画面から飛び出してくるような迫力満点の無量寺の虎と竜を、今まで以上に深く、面白く楽しむことを試みる。
21世紀版、新たな蘆雪鑑賞のススメといえるだろう。
<開催情報>
『春の江戸絵画まつり長沢蘆雪』
会期:2026年3月14日(土)〜2026年5月10日(日)
[前期]2026年3月14日(土)〜2026年4月12日(日)
[後期]2026年4月14日(火)〜2026年5月10日(日)
※前後期で作品の大幅な展示替えあり
会場:府中市美術館
時間:10:00~17:00(最終入場は~16:30)
休館日:月曜(※ただし5月4日(月)は開館)
料金:一般800円、大・高校生400円、中・小学生200円
公式サイト:
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/2026_Rosetsu.html