戦後抽象絵画の先駆者・難波田龍起の大規模個展が東京オペラシティ アートギャラリーで開催 生誕120年を機に約120点で画業の全貌に迫る
初台・東京オペラシティアート ギャラリーでは、2025年7月11日(金)より、『難波田龍起』展を開催する。我が国の抽象画のパイオニアにして、同館の所蔵する寺田コレクションの中心画家である難波田龍起。生誕120年を機に、他館や個人蔵の作品なども交えて、彼の画業の全貌を4半世紀ぶりに紹介する。
明治38年(1905)、北海道旭川市に生まれた難波田は、翌年家族とともに東京に移り、大正2年(1913)、本郷区駒込林町に転居した。裏隣には、詩人としても有名な彫刻家・高村光太郎が住んでおり、早稲田第一高等学院の生徒となった難波田は、自作の詩を携えて、光太郎のアトリエを訪れるようになる。そして昭和2年(1927)、早稲田大学政経学部を中退した難波田は、本格的に画家の道を目指すことになったのだった。
《群像》1970 東京オペラシティ アートギャラリー蔵撮影:大谷一郎
同展では大正末期に詩と哲学に関心を持つ青年として高村光太郎と出会い、その薫陶を受ける中で画家を志した難波田龍起の青春時代や、戦後、海外から流入する動向を咀嚼しながらも情報に流されず、特定の運動に属することなく、我が国の抽象絵画のひとつの到また達点を打ち立てた昭和から平成までの歩みを、丁寧に紹介する。
難波田といえば、青や茶を基調とした情感あふれる大画面の抽象画が知られるが、古代ギリシャやローマへの憧憬を描いた戦中期の作品や、戦後すぐに描かれた《街》(1951年、世田谷美術館蔵)のような、幾何学的な構成による抽象的な風景画なども興味深い。
《街》1951 世田谷美術館蔵
難波田を襲った最大の悲劇として、昭和49年(1974)に次男を、その翌年に長男を相次いで亡くしたことがあげられる。しかし難波田は、その苦悩を乗り越えて、精力的に制作し続けた。同展では、難波田が抱えていた内面の葛藤やうちなるポエジー、痛みと希望など、彼の内面のドラマにも光を当て、代表作となる大作から、水彩、版画、ドローイングやスケッチブック、その他の資料など、120点あまりを紹介する。
<開催概要>
『難波田龍起』
会期:2025年7月11日(金)~10月2日(木)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)、8月3日(日・全館休館日)、8月12日(火)、9月16日(火)料金:一般1,600円、大高1,000円
※同時開催『昼と夜|収蔵品展084 寺田コレクションより』、『project N 99 大久保紗也』
公式サイト:
https://www.operacity.jp/ag/exh288/
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