黒猫CHELSEA、新体制初ワンマンライブレポート「バンドっていうのは、最高っすね。楽しいです!」
Photo:おりのたんす(@orin_live)
Text:兵庫慎司Photo:おりのたんす( @orin_live(https://x.com/orin_live) )
三連休の初日である2024年7月13日(土) の昼12:30から、東京・新代田FEVERで、黒猫CHELSEAの再始動後の1回目であり、新体制での1回目でもあるワンマンライブが行われた。
2018年10月に活動休止して以来、渡辺大知(vo)はそれ以前から軌道に乗っていた俳優の仕事に専念、多数の作品に出演。澤竜次(g)、宮田岳(b)、岡本啓佑(ds)は、自身の音楽制作や映画の劇伴制作、他のミュージシャンのサポートや楽曲提供等で、様々に活動してきた。
そして、2023年の初頭から、再始動に向けて4人でスタジオに入り、話し合いを重ねた結果、宮田岳と岡本啓佑はバンドを脱退。渡辺大知と澤竜次は、バンド名を「黒猫チェルシー」から「黒猫CHELSEA」に改めて、再スタートを切ることを決めた。
5月28日に、新体制で再始動することと、7月13日の昼に新代田FEVERでワンマンライブを行うこと、その3日後の7月16日に荻窪TOP BEAT CLUBでのDECKREC(彼らが最初にインディー・リリースしたレーベル)の25周年記念イベントに出演することを、発表。
そして同日に、配信限定シングル「きらーず」(「きらーず」と「グッバイノスタルジー,ハローデストロイ」の2曲)をリリースした。
その2曲には、ex.赤い公園の藤本ひかり(b)と、ザ・ラヂオカセッツの大谷ペン(ds)が、サポートメンバーとして参加。
ライブのサポートも、そのふたりである。
藤本ひかり(b/ ex.赤い公園)
大谷ペン(ds/ザ・ラヂオカセッツ)
この日、チケット完売&超満員の新代田FEVERで演奏されたのは、全部で16曲。「きらーず」でスタートし、「初披露の新曲をやります!」と紹介された「ヘヴンズストーリー」までの5曲を、4人は駆け抜けるように演奏し、歌っていく。5曲目が終わったところで、ここFEVERでは自主企画等をやらせてもらったハコで、たくさんの思い出がある、バンドの形は変われど、戻って来れてうれしい──という話をする渡辺大知。
そして「あのー……バンドっていうのは、最高っすね。楽しいです!」。間奏になるたびに、興奮と歓喜と感傷が一緒くたになったような、なんとも言えない表情を何度も見せていたので、その気持ちが言葉になって出てしまったのだと思う。
レゲエ・テイストな「雲の列車」でいったんクールダウンし、「夜更けのトリップ」で再度ギアをトップに入れ、8曲目で「もう一丁初披露の新曲をやります!」と「Dreams」という曲をプレイ。
続く「スピーカー」では、藤本ひかりが弾き始めたベース・イントロに、大きな歓声が上がる。
11曲目「オンボロな紙のはさみ」を演奏し終えたところで、この日二度目のMC。休止のライブなら、もう観れないから集まるのはわかるけど、再始動のライブだからこれから何回でも観れるのに、こんなに来てくれた──と、澤竜次、ギュウギュウのフロアにお礼を言う。そして「休止とか解散とか、もうめんどくさいんでやりません」。大きな拍手が湧く。
「がっちゃんとけいちゃん(宮田と岡本)もどこかで見てるはずです」と言う澤竜次、「そんな、死んだわけやないんやから」とツッコミを入れる渡辺大知。「がっちゃんけいちゃんも、相変わらずほんまにかっこいい活動をしていますんで、それも含めて僕ら黒猫CHELSEAの活動をチェックしてください」と、報告する。
そして最後のブロックは、配信されたばかりのもうひとつの曲であり、このライブのタイトルにもなっている「グッバイノスタルジー,ハローデストロイ」でスタート。
原点に立ち返ったという宣言のようにも、新しい黒猫CHELSEAの意志表明のようにも受け取れるこの曲に、オーディエンスは腕を突き上げて応える。
そこから「ロンリーローリン」「嘘とドイツ兵」「平成ストレンジャー」と、初期~中期のライブ鉄板曲を固め撃ち。澤竜次はライブの中盤から何度も、間奏になるとステージ前の柵に上がっていたが、このブロックではそこに渡辺大知も加わる。「平成ストレンジャー」の後半では渡辺大知、「今日ここに集まってくれた僕たちの大好きなみなさん、明日もまた、そう、生きてゆけー!」と絶叫。
渡辺大知(vo)
澤竜次(g)
澤竜次の性急なリフから始まったラストの曲は、黒猫チェルシーの初音源の1曲目である「黒い奴ら」。あっという間に曲を終え、「また会いましょう!」と4人が去り、終演BGM(リチャード・ヘルの「Blank Generation」)が流れても、アンコールを求める手拍子は止まない。
と、渡辺大知と澤竜次が再登場。渡辺大知、「あのですね、黒猫CHELSEAを代表して、お伝えしなきゃいけないことがありまして。
実は僕たち、曲がもうないんです。新体制でやるというのは、こういうことです」。オーディエンス、大笑いで拍手。
藤本ひかり&大谷ペンに改めて感謝を述べ、最後に「新曲もどんどん作っていきます」と宣言して、ふたりはステージを下りた。
なお、二度目のMCの時、「まだ発表できないんですけど、年内もライブ、決まってきております」とも言っていた。情報解禁を楽しみに待ちたい。
<公演情報>
黒猫CHELSEA 1stワンマンライブ”グッバイノスタルジー,ハローデストロイ”
2024年7月13日 東京・新代田FEVER