GLAY「20年分の愛を込めて皆さんに届けたい」 7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』を全曲披露するツアー完走
Photo by 岡田祐介
GLAYが、2002年9月にリリースした7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』を全曲披露するホール公演『GLAY Anthology presents -UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022-』のファイナル公演を10月24日に開催した。
『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』はGLAYの中でも情緒的な側面が強い作品ということもあり、リリース当時はツアーが行われなかった。しかし、今のGLAYであればこの作品をちゃんとライブで届けられるというメンバーの想いより、今回のツアーが実施されることとなった。
ファイナル公演の会場となる静岡・アクトシティ浜松 中ホールは、クラシック音楽の演奏を最高のレベルで堪能できるコンサートホール。今回はコーラス2名に加え、ストリングス、そしてライブの冒頭とラストには、青少年赤十字メンバーである浜松市立高等学校の生徒と東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の学生たち26名を従えての合唱を披露するなど、普段のGLAYとは一味違うライブとなっている。
厳かな空気が広がる会場には、ストリングに包まれたSEが鳴り響く。メンバーとともにコーラス隊総勢28名がステージに着くと、1曲目は「WE ALL FEEL HIS STRENGTH OF TENDER」。アルバムの1曲目に収録されており、ゴスペル要素の強い壮大なコーラスワークが印象的なナンバーだ。
TERU
HISASHI
そう、このライブは “アルバム完全再現ライブ”。アルバム通りの曲順で全て届ける、そして今のGLAYであればそれが出来る。そんなバンドとしての自信の表れとも言えるオープニングである。TERU(Vo.)の歌声と28名のコーラスが混ざり合い、GLAY流の讃美歌とも言えるパフォーマンスを魅せてくれた。
続いては、当時飛行機のCMソングでもあった「またここであいましょう」や、21世紀以降にリリースされたGLAYシングルの代表作とも言える「Way of Difference」を、勿論アルバムの曲順通りに披露。『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』は前作『ONE LOVE』からわずか10カ月後にリリースされており、レコーディングも同時期にニューヨークで行われた作品。『ONE LOVE』はGLAYとしてのロックを強く押し出した作品であるが、この作品はTAKURO(Gt.)の人生を語った作品と言われるほど、情緒的な側面が強い作品に仕上がっている。
TAKURO
JIRO
まさにアルバムとして、1枚を通して聴いてもらうことを前提に作られた『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』を、厳格な会場で完全再現するライブ。
TERUも「このUNITY ROOTS & FAMILY,AWAYというアルバムがどういう形で伝わるか楽しんできたツアー」と語った。TAKUROは「デビューして6年という大人と子供の狭間のような時期にリリースしたこのアルバムを、当時はどう表現すればよいかわからなかった気がする。20年経って、20年分の愛を込めて皆さんに届けたい」と語り、「夏の彼方へ」をTERUとTAKURO、そしてこのライブのためにウクレレを覚えたという村山☆潤という編成で披露した。
20年前と今が混ざりあった「All STANDARD IS YOU」
ここからライブは中盤へ。ツアー中に誕生日を迎えたJIRO(Ba.)が作曲し、今回のツアーに向けて自らアレンジをした「neverland」に続き、「彼らのHOLY X’MAS」「Father & Son」「卒業まで、あと少し」と次々に披露し、あっという間にライブは終盤へ。
ライブ終盤では、浜松市立高等学校の生徒と東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の学生たち26名がステージに現れ、「Friend of mine」を披露し、残すところアルバムの曲はラストの「All STANDARD IS YOU〜END ROLL〜」のみとなる。
アルバム収録音源はラップが入ったりと「All STANDARD IS YOU」のRemix的要素の強いサウンドになっているが、どんなパフォーマンスになるかと思えば、まさかのコード進行から大胆に変えたアレンジver.で臨んできた。まさに20年前のGLAYと、今のGLAYが混ざり合うようなライブパフォーマンス。
一瞬新曲かとも思わされるが、耳を傾ければ間違いなく「All STANDARD IS YOU」であり、GLAYらしい完全再現の締めくくりである。
本編がこれで終わるかと思えば、最新曲「Only One,Only You」をラストナンバーとして披露。この楽曲にはTAKUROの平和に対する強い祈りが込められており、リリース当時のインタビューでは、最後のコーラスワークはTERUの歌声が識別できない程、壮大な仕上がりにしたいと語っていた。まさにその言葉通り、総勢28名のコーラスとTERUのヴォーカルが混ざり合うパフォーマンスは圧巻であり、音源では伝わりきらない「Only One,Only You」に込められた想いが音となって会場を包んでいき、本編は幕を下ろした。
着席での観覧となった今回のツアーだが、「Freeze My Love」から始まったアンコールでは会場全員が立ち上がり、本編とはまた違った盛り上がりを見せた。TERUの「僕たちはずっとそばにいるし、ずっと続けていきます」の宣言とともに、「TWO BELL SILENCE」そして「BEAUTIFUL DREAMER」を披露し、ライブは終演した。
Photo by 岡田祐介
<公演情報>
GLAY Anthology presents -UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022-
10月24日(月) 静岡・アクトシティ浜松 中ホール