メガテラ・ゼロ、超満員のZepp Hanedaで真夏のワンマン HOME MADE 家族、大柴広己も登場【オフィシャルレポート】
動画サイトに「歌ってみた」を投稿する“歌い手”を出自に持ち、近年ではシンガーソングライターとして、驚異的なバイタリティーを見せるアーティスト、メガテラ・ゼロのワンマンライブ『メガテラ・ゼロ ワンマンライブ〜懐かしいを攻める 新しいのもやるよ〜』が、8月21日に東京・Zepp Hanedaにて開催された。1年に一度の貴重なワンマンライブということもあり、一般発売が始まるや否やチケットは瞬く間にソールドアウト。当日の客席は、アーティストグッズを身につけた熱量の高いファンで埋め尽くされ、メガテラ・ゼロの揺るぎない存在感を改めて刻む一夜となった。
「カバー曲たくさん オープニングにオリジナル少し 合計たくさん歌います」と銘打たれた本公演は、生バンドでオリジナル曲とカバー曲の2部構成。荒々しくなりがちな“がなり声”に繊細な心の機微を宿す彼の魅力をふたつの側面で魅せると共に、幅広い年代の名曲を用いて、一人ひとりが音楽の楽しさを実直に噛みしめる時間を作り出したのだ。
開演時刻、場内がふっと暗転すると、青い光の降り注ぐステージにメガテラ・ゼロは姿を現した。熱い視線を一身に浴びながら伸びやかなフェイクを響かせ、一瞬にして空気を掌握。そのままパフォーマンスへ潜っていってもおかしくないものだが、「ほんのちょっとだけオリジナルやるから。
終わったら、たぶんみんなが知ってる曲になるから、それまでは我慢して聴いててください」と、あえておどけてみせる。大歓迎と言わんばかりの盛大な拍手を受け止めつつ、オリジナル曲で展開されるオープニングに歩みを進めた。
言葉が暗闇に沈んでいく「YONA」をきっかけに、厳かな雰囲気へ。静寂的なメロと激情的なサビの対比は圧巻で、表現者としてのポテンシャルの高さが鮮明に浮かびあがる。歌い手として磨いてきた世界観を操る力は、オリジナル曲でも健在なのだろう。「チルイヒカリ」では、エネルギッシュなロックサウンドに乗せて、傷や痛みさえも抱きしめる生命力を輝かせた。《消えてしまおうと思った》日々の先で《染み込む光のような音》に出会い、たどり着いたのは「白か黒かという単純な価値観では語れない現代を舞台に、"本当の感情"を取り戻そう」という想い。8月12日にリリースされたデジタルアルバム『モノクロマン』のリードソングである「モノクロマン」を誘い、オーディエンスを躍らせていく。
《「最高だ」》と掲げられる拳のなんと勇ましいことか。音楽を手にして絶望の淵から立ち上がった主人公の物語を、たった3曲でまざまざと描いてみせたのである。
衣装チェンジを経て、カバーセクションへ突入すると「知ってる曲があったら一緒に歌いませんか」と声をかけるメガテラ。彼にとって抜群の歌唱力は、己が悦に浸るための便利な道具ではない。誰かと音楽の楽しさを分かち合い、ちょっと生きやすい世界を作るための特殊スキルなのだ。カバー1曲目となるSPYAIRの「サムライハート(Some Like It Hot!!)」から、その想いが通じていると言わんばかりの大盛り上がり。賑やかなクラップ、宙を仰ぐ拳、パワフルなレスポンス。ファンの存在あってこそ作られる音楽空間が、すでに出来上がっていた。
その後も、My Hair is Bad「真赤」やサカナクション「怪獣」、Vaundy「怪獣の花唄」など、YouTubeで届けられてきた名曲を次々にドロップ。折り返しに差し掛かると、昨年に引き続きシンガーソングライターの大柴広己がステージへ。尾崎豊の「I LOVE YOU」とSUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」を、弾き語りスタイルで美しく歌い上げる。ミニマルな編成でありながら豊潤な表現は「上手さを優先すれば感情が削がれ、感情を込めれば技術が揺らぐ」という歌唱における固定観念を軽やかに打ち砕いていた。
再びひとりに戻り、「ギブス」「丸の内サディスティック」と椎名林檎で繋ぐと、メガテラが影響を受けた作品として挙げる『交響詩篇エウレカセブン』のオープニングテーマ「DAYS」(FLOW)へ。どこか童心に帰ったような面持ちで、大切そうに歌声を解き放っていった。懐かしさにZepp Hanedaが浸っていると、なんとスペシャルゲストとしてHOME MADE 家族が出現。『交響詩篇エウレカセブン』の流れで「少年ハート」を誘い、抜群のグルーヴを生み出していく。
憧れている先輩とステージに立てている事実が、メガテラは心底嬉しいようで、ふたりと視線を合わせながら楽しそうに体を揺らす。その歌声や素振りからは、ご満悦な笑顔が伝わってくるようだった。HOME MADE 家族を送り出すと、いよいよワンマンライブもラストスパート。きただにひろし「ウィーアー!」、BUMP OF CHICKEN「sailing day」「カルマ」とドロップし、怒涛の勢いで畳みかけていく。真っすぐにスコーンと突き抜けていく声は勇ましく、暗雲すら真っ二つに切り裂く希望の光のよう。《いつだって命懸け》で歌や音楽と真摯に向き合ってきた人生が、メロディーに乗って鮮烈に煌めいていた。
SIAM SHADE「1/3の純情な感情」で痛々しい感情を絞りだし、WANDS「世界が終るまでは…」では壮大なスケールを創出。メガテラと観客が一丸となって大合唱する光景は、まさに失いたくない景色と呼ぶにふさわしい。
歌で空間をひとつにまとめあげ、ブライトで清々しいフィナーレを結んだのだった。
メガテラがステージから去ったのも束の間、割れんばかりの歓声に呼び戻されてアンコールへ。和田光司「Butter-Fly」で最高に会場をぶちあげ、大柴広己とは「ドナーソング」、HOME MADE 家族とは2度目の「少年ハート」を披露。一人ひとりが音楽と戯れ、心のままに楽しめるムードのなか、メガテラ・ゼロ『ワンマンライブ〜懐かしいを攻める 新しいのもやるよ〜』は幕を下ろしたのだった。
取材・文:坂井彩花写真:スエヨシリョウタ
<公演概要>
『メガテラ・ゼロ ワンマンライブ〜懐かしいを攻める 新しいのもやるよ〜』
8月21日 東京・Zepp Haneda