1年の積み重ねが生み出すものは。イキウメ『外の道』開幕
日常がシームレスに非日常へとつながっていく。変わらないように見える毎日のすぐとなりに不思議な世界が口を開けている――。そんな作品で観る者を虜にするイキウメの新作『外の道』が5月28日、シアタートラムで開幕する。二十数年ぶりに再会した同級生の男女。盛り上がるような思い出もないふたりだが、互いに奇妙な問題を抱えていることがわかる……という物語。客演には池谷のぶえ、薬丸翔、豊田エリー、清水緑が名を連ねる。
昨年からたくさんの演劇公演が延期や中止を余儀なくされ、また上演できてもさまざまな制限がかかる日々が続いているのは、決して喜ばしい話ではない。けれども、こんな状況だからこそできることをやる、さらには新たなクリエイティブを生み出す劇団があるのは、観客にとってこのうえない幸運だ。
イキウメ『外の道』も例に漏れず、昨年5月に上演されるはずだった公演は中止、1年後に延期となった。しかし彼らはそこで歩みを止めることなく、すぐさま作品の深堀りを始め、その過程を逐一「ワーク・イン・プログレス」としてWeb上で発表していった。台本から稽古場での試演映像、音楽、美術、作品やそこに登場するキャストを別の角度から見た小説……。