「アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル」 こんな時期だからこそ“音楽の持つ力”を受け止めたい
“ベートーヴェン生誕250年”のメモリアルイヤーを飾るさまざまなコンサートの中でも、最も注目すべきコンサートの1つが、アンドラーシュ・シフのリサイタルだろう。用意された2つのプログラムの中には、それぞれベートーヴェンのピアノ・ソナタが含まれる。
第24番「テレーゼ」と、第26番「告別」を軸に、バッハとロマン派の音楽の数々が組合わされた曲目の中で、シフはいったい何を伝えようとしているのだろう。コンサートの楽しみはそれを考えるところから始まっている。
そして特筆すべきはこのプログラムに書かれていないアンコールだ。場合によっては1時間にも及ぶアンコールを披露するのがシフのコンサートでの恒例。完全に脱力されているからこそ可能になるシフの凄さを堪能できる瞬間だ。さてさて、今回は何を披露してくれるのかしないのか。
こんな時期だからこそ音楽の持つ力を受け止めたい。
●公演概要
3月12日(木)、19日(木)東京オペラシティ コンサートホール
「サー・アンドラーシュ・シフピアノリサイタル」
●アンドラーシュ・シフ(ピアノ)
1953年、ハンガリーのブダペスト生まれ。5歳からエリザベス・ヴァダスの下でピアノを始め、その後フランツ・リスト音楽院でパール・カドシャ、ジェルジ・クルターク、フェレンツ・ラードシュらに学び、さらにロンドンでジョージ・マルコムに師事した。