ドキュメンタリー映画界の巨匠、ニコラ・フィリベール監督が語る。「自分もまだ修行中」
(C)Archipel 35, France 3 Cinema, Longride - 2018
世界的な大ヒットを記録した『ぼくの好きな先生』や『パリ・ルーブル美術館の秘密』、『音のない世界で』などで知られるフランスのニコラ・フィリベール監督。フレデリック・ワイズマンらと並ぶドキュメンタリー映画界の世界的巨匠である彼は、寡作ながらこれまでに数々の傑作ドキュメンタリーを生み出してきた。今回の新作『人生、ただいま修行中』は、実に11年ぶりの日本公開作品。来日した彼が今回の作品について語るとともに、これまでのキャリアを振り返った。
そこにカメラがあるとは思えない。まるで、その人を温かく包み込むかのような眼差しで、その人物の普段着の姿を収めてきたフィリベール監督。そんな彼の温かな眼差しによるカメラが見つめたのは、パリ郊外にあるクロワ・サンシモン看護学校だった。看護師を目指す若者たちに密着取材するに至るきっかけは自身の体験にあったと明かす。
「2016年1月のこと、わたしは塞栓症で救急救命室に運ばれました。その後、集中治療室に移り、幸い一命をとりとめました。それで回復したとき、思ったのです。