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【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY

ぴあ
【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY

撮影:山本佳代子



「ぴあアプリ」で好評連載中の漫画『ロックちゃん』。音楽好きで知られる作者の芦沢ムネトがプロデュースする音楽イベント『Live!ロックちゃん2023』が、3月4日(土) 豊洲PITで開催される。くるり、ハンバート ハンバート、GLIM SPANKY、BREIMENの強力な4組によってどんな化学反応が起こるのか!? このイベントを前に、出演する4組のアーティストと芦沢ムネトとの対談シリーズがスタート!第1回目のゲストは、GLIM SPANKY。彼らのデビュー時から交流を続ける芦沢ムネトとの止まらないトークセッションをどうぞ!

ロックって激しいだけの音楽じゃなくて、僕は心意気だと思っている(芦沢)


――まずは、このイベントがどのようなきっかけで生まれたのかというところから芦沢さんに伺いたいと思います。

芦沢最初、ぴあさんからお声がけいただいたんです。ぴあさんの会社創立50周年の記念イヤーに芦沢さんがプロデュースするイベントをやりませんか?って。え!僕でいいんですか!?ってめちゃくちゃびっくりしました(笑)。

それで、じゃあどういうイベントにしようかなというところで考えたのは、ぴあアプリで連載している漫画『ロックちゃん』は3歳の女の子が主人公なので、大人も子供も楽しめるものにしたいなということでした。
若い人たちだけが盛り上がるんじゃなくて、幅広い世代の人たちが楽しめて、そこで初めての音楽体験を得られたりする場所にできたらいいなと思ったんです。

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY

芦沢ムネト
――そういう想いやコンセプトに基づいて出演オファーを始めて集結したのが、すでにアナウンスされている4組というわけですね。確かに世代もジャンルもバラバラで、普通のイベントであれば揃わない4組だなという感じがします。

芦沢そうですよね。ロックって激しいだけの音楽じゃなくて、僕は心意気だと思っているので、いろんな感情が感じられるようなラインナップにしたかったんですよね。だからロックではなく『ロックちゃん』っていうのがちょうどいいかなって。で、GLIM SPANKYはもう最初から絶対に出てもらうつもりで僕の中では勝手に決めていました(笑)。松尾うれしい。


亀本ありがとうございます。

芦沢GLIMのアルバム(『Into The Time Hole』)が出て、よく聴いてたんですよ。中でも9曲目の「形ないもの」っていう曲がすごい好きで、聴いた瞬間にメールしました。ちゃんとまだ歌詞も聴き込んでいないのに、いい!って思って。勢いに任せて送っちゃったからなんか失礼なこと書いてなかったかなって心配になっちゃったりして(笑)。

松尾いえいえまったく。

芦沢そのタイミングとこのイベントの話を具体的にしていくタイミングがちょうどかぶって、もうこれはGLIM SPANKYには出ていただくしかない!ってなったんです。

亀本芦沢さんはいつも僕らが新曲を出すとチェックしてくれるんですよね。


松尾ありがたすぎる。

――最初に芦沢さんがGLIM SPANKYのおふたりに会ったのはどのようなシチュエーションだったんですか?

芦沢えっとね……まず初めてGLIM SPANKYの曲を聴いたのは、当時僕が『RADIO DRAGON』(TOKYO FM)という番組をやっていて、ディレクターさんが「焦燥」(Sg/2014年)をかけたんですよ。それがめっちゃくちゃカッコ良くて、びっくりしたんです。声と音が最高で、ゆっくりかと思ったら速い!って(笑)。すごい小学生みたいな感想ですけど。それでライブを最初に観たのは、たぶんレコードメーカーさんが主催している新人のショーケースみたいなイベントだったと思うんですよね。

松尾うわー、めっちゃ前だ。赤い公園、ボールズ、テスラは泣かない。
と一緒に出たイベントですね(『EMI ROCKS neo』/2014年)。

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY

松尾レミ(GLIM SPANKY)
芦沢それだ!

亀本ゴリゴリのコンベンションライブでしたね。赤い公園はその1年前にデビューをしていたんですけど、僕らを含めた他の3組は同時にデビューしたんですよ。

芦沢関係者に品定めされてるようなライブだったよね。

亀本でも当時僕らは何もわからなかったから、こんなもんなのかなって思いながらやってましたね(笑)。

芦沢で、その後くらいに僕が『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)という番組で“教頭先生”になるんですけど、GLIM SPANKYはもともと『SCHOOL OF LOCK!』が主催していた『閃光ライオット』(10代を対象にしたティーンエイジャー参加型ロックイベント)出身という縁もあったんですよね。『閃光ライオット』に出た時って何歳だったっけ?

松尾高校3年生と大学1年生(亀本)でした。

芦沢すごいですよね。
で、僕が『SCHOOL OF LOCK!』をやっているときにゲストで来ていただいたりっていう感じで交流が始まりましたね。

亀本デビューしてからしばらくツイキャスをやってて、僕らだけだとあまりにもグダグダになるからっていうので、芦沢さんが司会をやってくれたこともありましたよね。

芦沢あったあった(笑)。ま、司会というか、楽しくおしゃべりしてただけなんだけどね。

松尾『SCHOOL OF LOCK!』をやられてたっていうのもあったし、私たちも『フテネコ』好きだったし(笑)。

芦沢その頃に1回だけプライベートで飲みに行ったよね?

松尾行きましたね。

亀本3人で?

芦沢シモキタの。

松尾中華料理屋。


亀本あっ、中華行った!確かラジオ終わりでしたよね。

松尾そうかも。

芦沢全然何を話したか覚えてないけど。

バンドでデビューするっていうことが決して雲を掴むようなことではないんだって思えた(松尾)


――どういうイベントになりそうですか?

芦沢どうしましょうかね。一応僕の役割としてはMCなんですけど、ぶっちゃけいらないんじゃないかなって思ってるんですよね。だって、ライブの合間に出てこられてもいらなくない?

松尾&亀本はははは。

亀本でも確かに難しいですよね。

芦沢もう素敵な4組がライブをやってくれるわけじゃないですか。
そこに説明なんていらないじゃないですか。それなのに出てくるわけですよ。「さてさて……」じゃないよ!って自分で自分にツッコミそうになる(笑)。

松尾でも全然嫌じゃないですよ。その方が楽しい。

亀本そうそう。僕らは全然いいんですけど、ただ僕がお客さんとして観ていて、くるりのライブが終わった後に、「はいどうも〜!」っていうテンションについて行けるかどうかは心配(笑)。

芦沢いや、そうなのよ。

松尾でも、ライブ終わった後にミュージシャンの話を聞けるっていうのはレアだからお客さんもうれしいんじゃないですかね。芦沢だからそうか、そういうふうにちょっとトークができればいいかもね。終わった後に俺だけステージに出て行って、お客さんに向かって「どうでしたか?」も何にもないよね(笑)。よかったに決まってるじゃん!ってなるもん。

松尾それにしてもすごいメンツですよね。くるりもハンバート ハンバートもずっと好きだし、BREIMENもやったことがなかったのですごい楽しみですね。なんか、普通にいい音楽が聴けるイベントだなっていう感じがすごくいいですよね。

芦沢そう。それをずっとやりたかった。

亀本くるりもハンバート ハンバートも今までやったことありそうでなかったんですよ。

芦沢あ、そうだったんだ!

松尾そう。関わりはあるんですけど。

芦沢だって、佐藤さん(くるり)がベースやったりしてるよね?

亀本佐藤さんにめっちゃ弾いてもらってるのに、対バンはしたことなかったんです。

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY

亀本寛貴(GLIM SPANKY)
芦沢えー!

松尾大きなフェスで出演日が同じ、とかはありましたけどね。

亀本だから僕らからしたら、今回すごくいい機会をいただいたなっていう感じでうれしいんですよ。くるりだけじゃなくて、ハンバート ハンバートもBREIMENも初めてなんで。

芦沢そうだったんだ。

松尾本当に私たちにとってもいいメンツだなって思うし、何よりデビュー当時から応援してくれてる芦沢さんにお声がけいただいたっていうことで個人的にはすごく特別なイベントですね。

――今からGLIM SPANKYのセットリストが楽しみです。

芦沢そうなんですよ。

亀本「形ないもの」はやろう。この話の流れでやらないのも変だし(笑)。

松尾そうだね。

――出順も芦沢さんが決めるんですよね?

芦沢そうなんですよね。いやぁ、楽しみ(笑)。

亀本でもこの4組の感じだと、キャリアの若い順からっていう感じが普通じゃないですか。

芦沢まあね。

亀本そしたら最初はBREIMENになるんですけど、そうするとそこでもうわかっちゃうので、だとしたら僕らがトップでやるんじゃないかなって勝手に想像してました。先輩2組を最初に持ってくるわけにも行かないし、まあ僕らの音楽って瞬発力もあるタイプじゃない?
松尾そうなの?

亀本そうじゃない?

松尾うん、まあいいや。

亀本そう。だからそんな感じ。

芦沢ふたりのこの感じがね、音楽を聴いていたらわからないんだけど、絶妙にいいんだよね(笑)。インスタライブをこのふたりでやってるとハラハラするもん(笑)。そこがすごい好き。

亀本でも、バランスが崩壊することはないんですよ。

松尾ギリギリね。

芦沢そう。だからそれがすごい不思議なんだよね。今、組んで何年?

亀本14、15年?

松尾私が15歳の時に組んだので。

亀本じゃあ15年か。

松尾うん。人生の半分やってるわ。

芦沢音楽性の部分以外で、何が居心地よかったりっていうことなんですか?

亀本初めて組んだバンドがGLIM SPANKYで、学生コンテストも経験して、大学時代にライブハウスの出演を経験してメジャーデビューしてっていう感じでずっとやってきているので、それ以外を知らないんですよね。

松尾そうなんだよね。

亀本だから、バンドってこういうものっていうことになっちゃってるんですよね。

芦沢なるほど。

亀本この活動によって自分たちの音楽人生が形成されてきているんで。

松尾これしかやったことないから、これが常識になっちゃってるっていう感じですね。

芦沢結果、それがふたりのいいバランスになっていくんですね。

亀本いいのかどうなのかはわからないんですけど成立してるっていう(笑)。

――最初からふたりだったわけではないんですよね?

松尾もともとは4人組でした。うちの高校は軽音部がなかったので、有志が集まったバンドだったんですよ。

亀本僕は途中で入ったんですけどね。

松尾私が高校1年生で、亀が2年生だった。で、亀よりもう1コ上の先輩と私と同級生の子がいてっていう4人組だったんですよ。軽音部の活動じゃなかったからこそ終わりがなかったというか。部活だったら、高校が終わったら解散っていう感じになるじゃないですか。でもそうじゃなかったから、目標も長いスパンで持てましたし、そもそもバンドをやりたくて集まってたからみんな気合いが入ってるんですよね。

芦沢自分の目標を紙に書いてて、それがその通りになっていったっていう話をしてたよね?

松尾そうなんですよ。その目標はメジャーデビューまでで終わってるんですけど。中学生くらいの頃に作って、とにかく、この時にこれをする、この時にはこれをするっていうのを予め書いておいて、全部実現させていこうって思ったんですよ。

芦沢それができるってすごいよね。デビューより先を書かなかったのはどうして?

松尾書いたことを実現していくっていうのはもちろん目標にはなるんですけど、でもそれ以上は行かないんじゃないかっていう気もして。どこか自分の限界を決めちゃうような気がして。

芦沢うわ、すごいな!

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY


亀本想像できる範囲をクリアしていくっていうこともすごいことだよ?

松尾そう、今考えたらね。でも努力したというよりも、好きでやってただけだから。だって、『閃光ライオット』の出場を『SCHOOL OF LOCK!』に応募して、まさかラジオから自分のバンド名が呼ばれるなんて思いもしなかったもん。

亀本僕は選ばれると思ってたよ。

松尾え!

亀本その時大学に行ってたんですけど、たぶん呼ばれるからラジオつけとこうって友達の家で聴いてたから。

松尾マジ!?私、腹筋してたら呼ばれてビビった。

芦沢なんで腹筋してたの?

松尾歌唱力つくかなと思って(笑)。そしたら呼ばれたからいつもの倍やったよね。

芦沢やっぱこういう時に腹筋してる人が上にあがるんだな。

松尾いやでもラジオで呼ばれるってあり得ないことだと思ってましたよ。私の住んでたところなんて人口が6,000人くらいしかいない村だったから。駅もないし。

芦沢そんな感じのところだったんですね。

松尾そうなんです。私は美術系の大学にずっと行きたいって思ってたんですけど、例えば町の人とかにそれを言うと、笑われる感じですよ。そんな人いないので。結局、高校創立以来最初の美術系大学入学者なんですよ、私(笑)。

で、『閃光ライオット』に出て、『SCHOOL OF LOCK!』の校長や教頭がいて、コメントくださいとか言われるっていうことが現実に起こって、それまではそんなこと想像すらできない出来事だったんですけど、バンドでデビューするっていうことが決して雲を掴むようなことではないんだって思えたんですよね。それでGLIM SPANKYで東京に行こうって決めて、亀はその時名古屋の大学にいたんですけど辞めてもらって。芦沢辞めたんだ!それ、すごいね。さらっと「辞めてもらって」って言ったけど(笑)。親になんて言ったの?

亀本最初、バンドやるために東京行くから大学辞めるわって言ったんですよ。そしたら、一応大学は出なさいって言われて。でもバイトしながら東京で音楽やるわって。それでも大学は出とけ、お金は出すからって言ってくれたんで、東京で活動ができるように大学を受け直したんですよ。それで結局そこも辞めちゃうことになったんですけどね。

松尾私も中退しちゃうんですけど。

ちゃんと考えた結果、大胆に速く決断するっていうのは、僕はいつもそうですね(亀本)


――自分の思い描いた未来って決して夢物語じゃないんだなっていう感覚を10代のときに持てたというのが大きいですよね。

松尾そうなんですよ。それが自分の人生を決定づけましたね。周りの大人たちはいろいろ言ってくるけど関係ねえって思って作ったのが、最初に出した「焦燥」って曲で、『閃光ライオット』に出たのもその曲だし、デビュー曲もそれなんです。その時の気持ちがいまだに私の中で大きいものを占めていますね。

芦沢確かに、周りがどんなことを言っても関係ねえよっていう感じは、他の曲の歌詞にも出てくるよね。

松尾そこが根っこになって結構たくさん書いてますね。

芦沢なるほど。そこが大きなテーマになってるんですね。

松尾そうです。その怒りはまだずっとありますね。

芦沢だからか。GLIM SPANKYの曲って、言葉の覚悟がすごいんですよね。「お前何まわりの言うことに惑わされてんだよ」って、ストレートに言ってくれる人は今の時代にいないなって。「そうっすよね、先輩!」みたいな(笑)。ムカついてる部分をちゃんと持ってるっていうのが何よりロックですよね。

松尾なんか私昔から、子供の頃の記憶もそうですし、過去の記憶がすごいこびりついてるんですよ。で、歌いながらでもそうなんですけど、そのことを思い出したり考えたりしたら、精神がその頃にタイムスリップするんですよ。その時の感情をめちゃくちゃリアルに感じることができるので、そこが力になっているんですよね。

芦沢じゃあ歌いながら思い出してムカついたりするんだ?

松尾しますね。今も話しててだんだんムカついてきてますもん。芦沢はははは!具体的な顔が浮かんでるでしょ。

松尾浮かんでますね(笑)。でも、ムカつく奴はいたけど、先生とか友達とかがめちゃくちゃ応援してくれたんで、がんばれたんですよね。私たち生徒会もやってて、(亀本が)生徒会長で私が副会長だったんですよ。

芦沢えー!嘘だぁ。いや、嘘ってことはないけど。マジで?

亀本僕が卒業した後の代の副会長なんですよ。一緒にやってたわけじゃないんです。

松尾カルチャーを変えたくて。それで生徒会をやってたんですよ。

芦沢よく「カルチャーを変えたい」って言ってたもんね。その頃からそうだったんだ。

松尾「ネオフラワーチルドレン」っていうのを始めたんですよ。町が「花いっぱい運動」っていうのをやってて。

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY


芦沢あ、ヒッピー的な感じのやつじゃなくてね。

松尾そうですそうです。

亀本普通にパンジー植えてました。

芦沢はははは。

松尾それが長年続いていて、花を植えるってことはフラワーチルドレンになればいいじゃないかっていうことでヒッピーカルチャーの危険な部分は伏せて企画書を書いたんです。そしたら好きなロックをかけられるわ、ポスターとか文化祭も全部私が作れるわ、もう最高じゃねえかって思って副会長になってやりました。

芦沢その当時から始まってたんですね。GLIM SPANKYのいろいろが。

松尾そうですね。今でもグッズのデザインを自分でしたりとかっていうのは、その時のことがきっかけになって続いているのかもしれないです。

芦沢さっきレミちゃんが言ってた「怒りの感覚」を亀ちゃんは共有するの?隣でギターを弾きながら。

亀本なんだろうな、書く言葉とか歌声とかもそうなんですけど、すべてを含めて誰とも比べられない個性を最初から持ってますし、そこは自分も含めて他にはないものなんですよね。まあだから、大学辞めてもいいかなって思えたんですよね。

松尾他のボーカルを探したんですって。

亀本いや、それはバンドメンバー募集みたいなことではなくて、常に生きてる中でいいボーカリストいないかなって当たり前に思うっていうことだよ。

松尾だからもしかしたら名古屋にすごいボーカリストがいたら、一緒に東京には来なかったかもしれないよね。亀本それはそうだったかも。

松尾だよね。

芦沢亀ちゃんはさ、自分の決めたことに躊躇なくパッと行ける人だよね。

亀本そうですね。

芦沢普通だったら、そこでそうしようかな?とか、親のこととかいろいろ考えるわけじゃない。でも、わかったって瞬間的に言える、その感じが決して空返事じゃないのがすごい。

亀本ちゃんと考えた結果、大胆に速く決断するっていうのは、僕はいつもそうですね。その代わり松尾さん全然決断できないんだよね。

松尾ごめん。

芦沢そうなの?

松尾あーいやもう。

芦沢バキッと行けないんだ。

亀本ファミレスですら決められませんから。だからこっちがもうボタンを押すしかないっていう(笑)。

松尾だってさっきもこの取材が始まる時、水かお茶にするか悩んだもん(笑)。

芦沢曲作りの進みも遅いんですか?

松尾それもそうですね。

亀本制作の進み方は速くないよね。時間がかかる。

松尾でもデビュー前に比べたら50倍くらいの速さでやってるんですけど、デビュー前はモナリザみたいな感じで描いても描いても完成しなくて(笑)。完成したかなと思ったら剥がれて前描いた絵が出てきてやっぱりこっちの方がいいんじゃないかなとか思ったり。

芦沢あははは。

松尾だからデビュー前は1年に3曲できるかどうかって感じだったんですよ。

亀本うん。そんなもんだった。

松尾だからこれでも今はギアを上げてる方です(笑)。

芦沢じゃあテーマがあったら作りやすかったりするんだ。

松尾そうですね。でも例えばタイアップでも、決められたテーマに沿いつつ、自分で表現しなければいけないこともきちんと盛り込んで、こだわりを持っていながらもちゃんと点を取りに行きたい。

亀本すごいね。こんなじゃん(と言って両腕を広げてテーブルの上のものをかき集める仕草をする)。

芦沢全部盛りでしたね(笑)。

松尾全部盛りです。でもそんぐらい目指さんと何なん?って感じじゃん。な?

亀本そうだそうだ。

松尾こだわりは負けちゃいかんでしょ。

亀本常に自分の価値観を疑い続けるっていうのは大事だよね。

松尾それは大事。だからそこを目指してやってるんですけどね。

芦沢全部盛りをね。

松尾そうです。音楽的にもなんでも取り込んでいきたいと思ってるし。芦沢あ、そうそう。新しいアルバムを聴いていると、そういういろいろな要素を感じるというか。こなくそ!以外のものもある(笑)。アルバムの中に「HEY MY GIRL FRIEND!!」って曲があるじゃないですか、あれすごい好きなんですよ。あ、レミさんこういう歌うたうんだ!って。

松尾あれはそうですね、チャレンジしてみました。ティーンの恋愛映画みたいなイメージで書いたんですけど、もともと野宮真貴さんに提供する楽曲の候補としてあったものなんですよ(野宮真貴の40周年記念アルバム『New Beautiful』に「CANDY MOON」を提供)。

芦沢あ、そうだったんだ!

松尾最初、亀がフレーズをくれたんですけど、もうそのときには野宮さんに提供する曲を作っていたので、このネタは自分たちのためにとっておこうということでアルバムの時に歌詞を書いたんですよ。だからちょっと自分とは違うテイストを盛り込んでみた、という感じですね。あえて野宮さんに提供するようなイメージでやってみたら面白いんじゃないかなと思って。

芦沢なんか曲を聴きながら、ベッドの上で飛び跳ねているレミさんを勝手に想像してた(笑)。そういう怒りだけじゃない部分を感じられました。

松尾いやあ、うれしいです。

芦沢これはぜひ、イベントでも。

亀本お!

松尾やろうやろう。

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY


芦沢すみません、勝手にセットリストを決めているみたいで。

亀本いえいえ。いつも悩んじゃうんで、イベントのセットリストは。ワンマンは決めやすいんですけどね。

芦沢やっぱり、いろんなフェスやイベントがある中で、当然どことも似ていないものをやりたいじゃないですか。そしたら、こっち側の――やる側の熱量というか、好きな気持ちを伝えるというのは大事な要素としてあるのかなって思うんですよね。だからこそ、組み合わさらない人たちが組み合わさることができるのかなって。

松尾私たちも今回は芦沢さんがやるっていうことだから、出たいって思いましたし、誰がいるとかって関係なく芦沢さんがやるので手を挙げました。

亀本最初からそうだったよね。

芦沢本当にうれしいです。

松尾そしたらね、集まった人たちがすごくて、もう最高です。

芦沢もうみんな最高なので、楽しみ。勝手な希望ですけど、誰かがライブをやってる時はみんな袖でライブを観ていてほしいですもん。

松尾そういう雰囲気って最高ですよね。

亀本僕はね袖では絶対観ないパターン。

松尾あ、ちゃんとフロアで観たいんだ。

亀本そう。

芦沢場所はどこでもいいよ!袖限定で言ってないから。

亀本袖で観るの苦手なんですよ。

芦沢わかったから、そういう話じゃないよ(笑)。

【『Live!ロックちゃん2023』対談シリーズ①】芦沢ムネト×GLIM SPANKY


Text:谷岡正浩Photo:山本佳代子

<ライブ情報>
『ぴあ 50th Anniversary「Live!ロックちゃん 2023」』

3月4日(土) 豊洲PIT
OPEN 16:00 / START 17:00

出演:GLIM SPANKY/くるり/ハンバート ハンバート/BREIMEN

【チケット料金】
スタンディング:6,000円(税込)
スタンディング ファミリーチケット(大人1名+小学生1名):8,000円(税込)

※入場時ドリンク代必要
※未就学児童入場不可
※スタンディング ファミリーチケットは、公演当日時点で小学生のお子様1名と同伴限定のチケットとなります。

チケット一般発売中:
https://w.pia.jp/t/liverockchan2023/

オフィシャルサイト:
https://live-rockchan.com

プロフィール
芦沢ムネト
コントグループ「パップコーン」のリーダー。癒し系キャラクター「フテネコ」の生みの親であり、様々なアーティストから支持を受け、数多くのMVやコラボグッズを手掛けるほか、ライブやフェス等のイベントではMCを務めるなど、幅広く活躍する。

GLIM SPANKY
男女二人組ロックユニット。 ハスキーでオンリーワンな松尾の歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本のギターが特徴。

ロックちゃん
ロックちゃんは、自分のことをなぜかオトナだと思っている4才の女の子(次女)。この連載はちょっと背伸びをした、キュートでやんちゃなロックちゃんの日常のお話です。

関連リンク
芦沢ムネト Twitter:
https://twitter.com/ashizawamuneto

GLIM SPANKY オフィシャルサイト:
http://www.glimspanky.com/

漫画連載『ロックちゃん』:
https://lp.p.pia.jp/article/series/62727/index.html

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ぴあ

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