『拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ』大阪中之島美術館で 国内所蔵の多様な作品でシュルレアリスムの本質に迫る
大阪中之島美術館では、12月13日(土)より『拡大するシュルレアリスム視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ』が開催される。
シュルレアリスム(超現実主義)は1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけた動向で、「これまで無視されてきたような種々の連想における高次のリアリティと、夢の全能性への信頼に基づく」ものとされている。無意識や夢に着目したフロイトの精神分析学に影響を受けて発生した。つまりシュルレアリスムとは私たちが疑う余地なく現実だと認識しているものの中から、より上位の現実である「超現実」を露呈させることであり、同展では、こうした客体(オブジェ)として事象を見つめることで「超現実」と向き合ったシュルレアリストたちのオブジェを紹介することから始まる。
アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(初版本)1924年岡崎市美術博物館
続いて、オートマティスム(自動筆記)という文学的な実験に由来する人の深層心理や夢想を反映したマックス・エルンスト、イヴ・タンギー、ルネ・マグリットらの絵画、多様な技法を駆使して日常的なモチーフを謎めいたイメージに変えたマン・レイらの写真表現を紹介する。
イヴ・タンギー《失われた鐘》1929年豊田市美術館
さらに、こうした視覚芸術だけではなく、コラージュやフォトモンタージュなどのテクニックを駆使した広告にも注目。服飾そのものや服飾雑誌といったファッションとの関係、有機的な形態を持つ奇妙なインテリアへの反映など、日常生活にも浸透していったシュルレアリスムにも目を向ける。
フランシス・ピカビア《黄あげは》1926年大阪中之島美術館
ヴォルス《無題》1937 / 1979年の再プリント横浜美術館※後期展示
日常といえば安定した秩序を求めるものだと思われがちだが、あえてそこに違和感をもたらし揺さぶりをかけるという人間の飽くなき好奇心も垣間見える。
これまで難解に感じていたかもしれない「シュルレアリスム」をさまざまな角度から見直してみたい。<開催情報>
『拡大するシュルレアリスム視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ』
会期:2025年12月13日(土)〜2026年3月8日(日)
[前期]2025年12月13日(土)〜2026年1月25日(日)
[後期]2026年1月27日(火)〜2026年3月8日(日)
会場:大阪中之島美術館4階展示室
時間:10:00〜17:00(※入場は16:30まで)
休館日:月曜、12月30日(火)~1月1日(木・祝)、1月13日(火)、2月24日(火)
※ただし1月12日(月・祝)、2月23日(月・祝)は開館
料金:一般1,800円、高大生1,500円、小中生500円
公式サイト:
https://nakka-art.jp/exhibition-post/surrealism-2025/