千住真理子がデビュー50周年。記念企画が12月のイザイでスタート
なるほど。ステージに登場する彼女のちょっと “男前” な速足や、目をつぶって集中して弾くという、ファンならよく知る千住真理子の舞台スタイルは、50年前のデビュー・コンサートですでに完成していたわけだ。
挫折を救った、イザイの人間くさい魅力
(C)JUNICHIRO MATSUO
12歳でのデビュー後も、15歳(中学3年生)で日本音楽コンクールに最年少優勝するなど、華々しい活躍が続いた。しかしずっと順風満帆だったわけではない。“天才少女” と呼ばれるプレッシャーから、毎日14時間もの練習を続けた10代。精神的にも肉体的にも追い込まれていったという。それが限界に達したのだろう、20歳の頃、「もうこれ以上無理だ」と、大きな壁にぶち当たった。初めての挫折。
どうしても乗り越えられず、一度はヴァイオリンから離れた。そんな時期を振り返ったときに、「私のそばから絶対に離れなかったふたりの作曲家」と語るのが、J.S.バッハ(1685~1750)とウジェーヌ・イザイ(1858~1931)だった。
デビュー50周年の記念企画は、今年12月に、そのイザイの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ》全曲演奏会で始まり、J.S.バッハの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》全曲を弾く来年12月まで続く。