【ライブレポート】w.o.d.とGLIM SPANKYが渋谷クアトロでツーマン フロアが沸き立つ熱いバトル!
Photo:吉田圭子
VINTAGE ROCKとチケットぴあが手を組み、「今、観てほしい!」と思うアーティストをピックアップした共同企画『FUTURE RESERVE』の2回目が渋谷クアトロにて開催。前回と同じく、今回も強烈なラインナップが顔を揃えた。
そう、w.o.d.とGLIM SPANKYの豪華ツーマン形式となり、この日のオープニングアクトを務めたのは碧海祐人(おおみ・まさと)だ。
碧海祐人
彼は「FUJI ROCK FESTIVAL 2021」に出演し、ネクストブレイクとして期待されているシンガーソングライター。まずはアコギ弾き語りで詩情豊かな歌声を放ち、観客の心を即座に掴んでいた。「めっちゃ人いるなあ。しゃべりの通り、フランクな人間なんで……」と気さくなMCを挟み、「夕凪、慕情」では幻想的な音色を背景に、優しく包み込むような歌声を響かせた。今日登場する2バンド(w.o.d.、GLIM SPANKY)については「お楽しみに。
リハ最高でした!」と触れると、ラストは「夢遊」を披露。憂いを帯びたメロディを歌い上げ、稀有な個性を存分に魅せつけてくれた。
GLIM SPANKY
そして、松尾レミ(Vo/Gt)、亀本寛貴(Gt)のメンバーふたりが現れると、GLIM SPANKYは今年8月に出た6thアルバム『Into The Time Hole』から「シグナルはいらない」でショウをスタート。ヘヴィなギターリフが刻まれると、そこに松尾の艶やかな歌声が重なり、下半身を揺さぶる骨太なサウンドを突きつける。続いて新作収録の「ドレスを切り裂いて」に繋ぐと、エフェクティヴなギターがいいアクセントになり、一度聴けば耳から離れない中毒性の高い歌メロにも引き込まれていった。
松尾レミ(Vo/Gt)
「怒りをくれよ」に入ると、「渋谷ー!」と松尾は叫び、フロアから無数の拳が突き上がる。サビの高揚感も相まって、彼女のハスキーボイスは一段と輝きを帯びていた。「w.o.d.とのツーマン、気合入れてきた」と意気込みを語る亀本。
それから「It’s A Sunny Day」、「大人になったら」をプレイすると、場内から盛大な拍手が沸き起こる。その景色に「ライブハウス、最高ですね!」と松尾は実感のこもった言葉で呼びかけ、「w.o.d.はロック風じゃなく、ちゃんとロックバンド。最高な奴ら」と絶賛する亀本。加えて、w.o.d.とはディズニーランドに一緒に行く間柄であることも告白。
亀本寛貴(Gt)
ショウは後半に差し掛かり、ここからロック色強めのナンバーを次々と投下。AC/DCばりの図太いギターで押しまくる「愚か者たち」を皮切りに、スタジアム・ロック風の「NEXT ONE」ではクラップで会場を一つに束ねる。ラストスパートは解放感に満ちた「ワイルド・サイドを行け」、泰然とした王道ロック「Circle Of Time」を演奏。雄大なスケールにより、観客をひとり残らず飲み込む貫禄のステージで魅了した。
w.o.d.
サイトウタクヤ(Vo/Gt)、Ken Mackay(Ba)、中島元良(Ds)のメンバー3人が揃うと、w.o.d.は「馬鹿にしてよ馬鹿にしてよもっと馬鹿にしてくれ」の歌詞に耳を奪われる「リビド」で火蓋を切った。衝動みなぎる演奏を叩きつけた後、うねりを上げるベースをイントロに「イカロス」へと突入。ヒリヒリした緊張感を孕んだ曲調にフロアも活気付いていく。「Kill your idols, Kiss me baby」に進むと、個々の演奏は大きなカタマリとなり、巨大なグルーヴとなって押し寄せてくる。それを「踊る阿呆に見る阿呆」でより一層膨らませると、飛び跳ねる観客が続出していた。
Ken Mackay(Ba)
「バニラ・スカイ」を経て、荒々しい疾走感で駆け抜ける「1994」が始まるや、フロアの熱気は急上昇。続いて「煙たい部屋」、「馬鹿と」とプレイした後、ようやくここでMCを挟む。「w.o.d.です。
亀さんがすごく褒めてくれて嬉しかった。サマソニでも亀さんと合流して、仲良しです(笑)」とサイトウはコメント。次の「オレンジ」では歌を主軸に郷愁を刺激するメロディの良さをアピール。「Mayday」、「モーニング・グローリー」と演奏し、最後に「Sunflower」を投下。「オレンジ」同様、歌をメインに据えた曲調だ。大地を揺さぶる図太いグルーヴとポピュラリティ抜群のメロディを溶け合い、壮大なスケールで迫る名曲であった。ライブが終わってみると、彼らはリリース前の4thアルバム『感情』から全10曲中7曲を披露した計算になる。驚きはそれだけではない。
以前は3ピースで火花を散らし合う演奏が魅力の一つだったが、今日のパフォーマンスでは歌の訴求力を高め、懐の深いロックバンドへと成長を遂げていたことを肌で感じ取った。
サイトウタクヤ(Vo/Gt)
中島元良(Ds)
良質な歌/メロディを届ける一方で、ロック然とした演奏を追求するGLIM SPANKYとw.o.d.。その意味では、両者の音楽的ベクトルに多くの共通項を見出せたと言ってもいい。再びまた、この2バンドによる熱いバトルを観てみたい。そう思ったのは僕だけではないはずだ。
Text:荒金良介Photo:吉田圭子
<イベント情報>
VINTAGE ROCK×チケットぴあ presents FUTURE RESERVE vol.2
9月11日(日) 渋谷CLUB QUATTRO
出演:GLIM SPANKY / w.o.d.
オープニングアクト:碧海祐人