小松和重×平田敦子×久ヶ沢徹 「サモ・アリナンズ」最後の本公演、最新版『蹂躙さん』の見どころと思い出と
(撮影:源賀津己)
1992年に倉森勝利と小松和重が中心となって旗揚げした劇団「サモ・アリナンズ」。マンガチックなユルい笑いで人気を博してきたが、7年ぶりとなる本公演でついに劇団としての幕を閉じることになった。そこで小松にサモアリ主要メンバーである平田敦子、久ヶ沢徹を迎えての鼎談を実施。最後の公演を前にしたとはいえやはりこの面々、そんな湿っぽさは微塵も感じさせないダラダラトークは延々と続き……。
サモアリ最終公演を決めたのは、意外なある理由から
――7年ぶりの公演にして、サモ・アリナンズとしては最後の本公演となります。その経緯は?
小松みんなもう年齢的に無理じゃないかなって思ったんですよね。
久ヶ沢今ならギリ面白いことも思いつくかもしれないですしね。
平田あとやっぱりパワハラ劇団ですから(笑)。
このご時世に向いてないんですよ。
小松お前がな!(笑)
久ヶ沢佐藤(貴史)に対する当たりが強いんだよ(笑)。
平田もう殴っちゃダメなんだよね?
久ヶ沢殺陣!殺陣!
小松アクション!アクション!
平田そっか(笑)。でも佐藤にしかやらないんだよ、すごい受けの上手な。
小松そうね、佐藤は受けがうまいからね!痛くないからね!
久ヶ沢だったらいいよね!
小松もう、やめる理由が歳とパワハラってひどいな……(笑)。
――『蹂躙さん』はタイトルを変え過去三度上演されてきた作品です。最後の本公演をこちらに決めた理由は?
小松それは旗揚げもこれだったので、やっぱり終わりもこれがいいかなって。あと年齢的にも、一番恥ずかしくない作品を選んだつもりです。
――あ……。
久ヶ沢なにそのリアルな「あ……」は!?あれが恥ずかしくないの?どれをとっても恥ずかしいでしょ?ってこと!?(笑)
小松まぁ違いはないかもね(笑)。
平田サモアリにそんなパターンないしね。
久ヶ沢そうね。せいぜいふたつか三つだもんね(笑)。――旗揚げされたのは1992年。当時の出来事で印象に残っているのは?
平田なんか客席にきれいな布を敷いたよね?
小松青とオレンジのね。本当は舞台上の黒幕をそれにしようと思ったんだけど、照明さんに激怒されたんだよ(笑)。
平田そっか、「こんなんで照明作れるわけねぇだろ!」って。
久ヶ沢で、もったいないから客席に敷いたら、客席がすごいカラフルになったっていう(笑)。
平田あと合宿をしたよね。
小松そうだ!昔は仲良かったからね(笑)。
久ヶ沢別荘持っている子がいてね、山梨まで行ったんだ。
小松とはいえ別に稽古もなにもせず。
平田二泊して、帰る日の朝にちょっと「一回くらい本読みしようか」って。
小松・久ヶ沢(笑)。
平田二台のレンタカーにわかれて行ったんだけど、当時スマホなんてないから、久ヶ沢さんがトランシーバー借りてきてそれで会話してたよね。それ見て、すげえ!トランシーバー!って思った。
久ヶ沢なんの感想だよ!
小松すげえ!トランシーバー!ってなんかいいね。タイトルみたい(笑)。
――トランシーバーはなにか作品に関係が……?
小松なんもないです(笑)。
久ヶ沢ただのこの人の感想です。サモアリの作品に関することって、なんにも覚えてないんです(笑)。
面白いかどうかは好みの問題。ぜひ優しい目で観てほしい
――初めての方もいらっしゃると思うので、『蹂躙さん』がどんな作品か教えていただけますか?
小松勧善懲悪の学園番長ものですね。
……それぐらいしか言いようがない(笑)。
――それぞれの役どころは?
小松僕は夜叉車蹂躙(やしゃぐるま・じゅうりん)っていう、関東の総番長です。関東一強い人です。あとは……(笑)。
久ヶ沢愛に生きている男だよね。
小松愛に生きている男ですね!
平田私は比久尼巴(びくに・ともえ)。蹂躙さんのあれはなに?彼女?
小松まぶ。
平田まぶです。
久ヶ沢僕は火達磨媒染(ひだるま・ばいせん)。役回りとしては悪ですね。
小松わかりやすい!久ヶ沢明快なんです。悪いんです。悪の象徴です。
小松これで初めての人にもわかってもらえると思います!
久ヶ沢それで伝わらないなら、もうこれ以上伝えることはないです(笑)。
――ゲストには宮藤官九郎さんや荒川良々さんが名を連ねます。
小松宮藤くんはダメ元でオファーしたらOKだったんです。
マジか!?と。荒川くんは自ら出るって連絡くれて。
久ヶ沢宮藤くんはさ、たぶんわだかまりがあるんだよ。なんかサモアリに出ると必ず奥さんに怒られるんだって(笑)。そのことを愚痴ってたから、リベンジに来るんじゃない?
小松・平田(笑)。
――では最後に、お客さまにひと言ずつお願いします。
平田サモアリを観たことがある人も、初めての人も、過度な期待はしないで欲しい。面白くなくてもいいけど、SNSには書かないでほしい。悪口嫌い。
久ヶ沢それ、本当にお客さんに言いたいことじゃない。そういう意味のひと言じゃないのよ(笑)。
平田そっか、そっか(笑)。
久ヶ沢まぁ肩の力を抜いて観に来ていただきたいですよね。
小松うん。楽しいことをやっているので、楽しんで帰ってくれればいいかな。あとは好みの問題なんでね(笑)。ぜひ優しい目で見てもらえればと思います。
取材・文:野上瑠美子撮影:源賀津己
サモ・アリナンズ『蹂躙さん』のぴあアプリユーザー向けチケット先行を受付中!
受付期間:12月22日(日) まで
詳細は下記よりご確認ください。
【チケット先行受付中!】サモ・アリナンズプロデュース第28弾『蹂躙さん』ザ・スズナリ(https://lp.p.pia.jp/article/news/408397/index.html)
<公演情報>
サモ・アリナンズプロデュース第28弾
『蹂躙さん』
原作:倉森勝利
脚本・演出:小松和重ブラザーズ
出演:小松和重家納ジュンコ佐藤貴史大政知己月野木歩美/荒川良々宮藤官九郎久保田武人平田敦子久ヶ沢徹
2025年3月23日(日) ~3月31日(月)
会場:東京・ザ・スズナリ
公式サイト:
https://otonakeikaku.net/stage/5489/