権力と欲望の極致を鬼才パオロ・ソレンティーノが描く 『LORO(ローロ) 欲望のイタリア』が公開中
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計9年もの間、大統領の座についていた、実在の大富豪シルヴィオ・ベルルスコーニは、政界・財界で権勢を振るいながら、脱税や賄賂、舌禍、下半身問題など、絶え間ないスキャンダルでも知られる問題人物。そんなベルルスコーニが2006年に政権を再び手中にする様子を描いたのが、公開中の映画『LORO(ローロ) 欲望のイタリア』だ。
なかでも凄まじいのは、女性問題のスケールの大きさ。20歳も年下の妻がいながら、10代の少女を恋人にしようとしたり、彼が開いたという、大勢の女性たちを集めた盛大なパーティーを、本作は再現していく。
監督は、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』、『グランドフィナーレ』などで世界的に評価される鬼才パオロ・ソレンティーノ。彼の演出によって、ミュージカルのように熱狂的に描かれたベルルスコーニの日々は、圧巻のひとことだ。
そして、ソレンティーノ監督のデビュー作品にも出演していた名優トニ・セルヴィッロの怪演も特筆。リアリティある表現で、ひとりの人物の中にある限りない欲望と狂気が映し出されていく。