(C)Hidemi Seto
クリスマスを舞台にした作品であることから、毎年このシーズンになると世界中で上演される古典バレエの名作『くるみ割り人形』。チャイコフスキー作曲によるお馴染みの音楽と、イブの夜に少女が見る夢という大筋は変わらないながら、その演出・振付はバレエ団によって異なっており、熊川哲也が手がけたKバレエ カンパニー版は豊かな娯楽性を最大の特徴とする。スケール感あふれる舞台転換や、時にユーモラスな展開など、バレエを観たことがなくても楽しめるファンタジー大作だ。
初演は2005年で、2008年から10年間はTBS赤坂ACTシアターにて、比較的小さな劇場だからこそ表現できる親密さや温かさを前面に押し出した「赤坂Sacasバージョン」として上演。しかし2018年には舞台を大劇場へと戻し、スケールアップした演出、そしてフルオーケストラによる生演奏とともに上演され好評を博した。今年も、会場は昨年と同じ東京・Bunkamuraのオーチャードホール。熊川哲也のこと、さらに進化した『くるみ割り人形』を届けてくれることだろう。11月28日(木)から12月1日(日)までオーチャードホールで上演された後、12月5日(木)