『ドロステのはてで僕ら』土佐和成×朝倉あき、特別対談 「何度見ても面白い発見がある作品」
土佐:僕は宇宙的な話はあまり得意じゃないんですが、時間ものは好きで、とりわけ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』先輩は好きです。『ドロステのはてで僕ら』からしたらあれは“時間もの”の直属の“先輩”ですから(笑)。ただ、『ドロステ』は時空をかけてはいないんですよね。登場人物が未来や過去に行くわけではなく、僕らは“現在”に存在するだけで、モニターごしに未来の自分が見えるという仕掛けなんです。
朝倉:未来といってもたった2分後なんですよね(笑)。
土佐:2分後が向かい合わせのモニターにいくつも連なっていく……と考えるとちょっと気が遠くなりそうな世界ですよね。脚本を書いた上田誠のSF的な世界をこれまでも演じてきた僕ですが、これまで以上に振りきった脚本にびっくりしました。これを上田はひとりで考えてひとりで書いたんだ、と思ったら彼の脳がちょっと心配になるくらい(笑)。
それと同時に、これを映像化できたらとんでもない作品になるだろうという期待感が芽生え、どんなに大変な撮影でもやり抜こうと気合が入りました。朝倉:台本のほかにサブテキストがありましたよね。現在、過去、未来の関係性が図解入りで示されていて。