【サンダンス映画祭2026レポート】チェ・ヒソとソン・ソックが韓国系移民役で共演
USドラマチック・コンペティション部門で上映された『Bedford Park』の監督ステファニー・アンは、韓国系アメリカ人女性。親の期待との葛藤、文化のはざまといった、ずっと抱えてきた移民2世ならではの複雑な思いをつづる映画を、ついに実現させた。
今も英語が苦手な両親の元、ニューヨークのブロンクスで育った主人公オードリーは、30代なかばの独身女性。時々男性とカジュアルな関係は持つが、恋人はおらず、名門大学卒にしてはぱっとしない仕事に就いている。そんなある日、母が交通事故に遭って軽い怪我をし、実家に戻ることになった。車をぶつけてきたイーライという名の男性も、韓国系。態度の悪い彼と最初はぶつかりあうが、そのうちふたりは次第に心を通わせていく。
主演はいずれもソウルをベースに活動するチェ・ヒソとソン・ソック。
ふたりとも若い頃をアメリカで過ごしており、英語は完璧。チェは、オードリー役をオーディションで獲得した。今から7年も前のことだ。
最初は白人男性として書かれていたイーライ役ソンが演じることになったのは、20年来の友人であるチェのおかげ。「白人のために書かれたなら、きっと良い役だろうと思って」と、上映後の舞台トークで、ソンは冗談を述べている。
「役者として遅咲きの僕は、キャリアでずっと彼女が言う通りにしてきました。僕はオーディションがあまり得意でなかったのですが、彼女が受けるようにと言ったものはよく受かりましたしね」というソンは、チェからこの話を持ちかけられると、脚本も読まずに同意したという。イーライを韓国系にすることに最初は抵抗があったアン監督も、オンラインでソンに会うとすぐにピンと来て、脚本を書き直したという。
変更された脚本で、イーライは、アメリカ移住後すぐに母が死んだため、白人の夫妻に養子として引き取られたという設定になった。移民のバックグラウンドもさまざまだという事実が織り込まれ、映画はより層が深くなったと言える。しかし、チェは、これは移民だけについての話ではないと見る。
「“自分はどこに所属するのだろうか”という混乱した気持ちは、移民以外の人もきっと感じたことがあるはず。この映画は普遍的なテーマを語ると思います」と語った。
現段階で配給は未定。
文:猿渡由紀
Courtesy of Sundance Institute