【おとな向け映画ガイド】待望の映画化、ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』と、台湾の大ヒットホラー『返校 言葉が消えた日』をご紹介。
【おとな向け映画ガイド】
待望の映画化、ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』と、台湾の大ヒットホラー『返校言葉が消えた日』をご紹介。
ぴあ編集部 坂口英明
21/7/25(日)
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台湾のホラーゲームが原作 『返校言葉が消えた日』
このところ台湾映画に傑作が多く、目が離せません。2019年、台湾最大のヒットになったこの『返校』も、サイコホラーなのですが、盛り込まれた内容がとても奥深く、怖いだけにとどまりません。他の国ではなかなか真似できない独特の世界を作りだしています。
台湾で流行ったホラーゲームが原作だそうです。時は1962年、’’白色テロ時代"と呼ばれ、まだ台湾が言論の自由を制限されていたころ。国民党政権の統制下で、反抗する者は次々と逮捕され、処刑も行われていました。密告の奨励など、人間不信が極限に達していた暗い時代が舞台です。
学校にも国民党の軍服をきた教官が常駐し、生徒や教師に反政府分子がいないか目を光らせています。
そんな中で、自由を求め、禁制本を読む"読書会"を開くグループがいました。主人公の女学生ファン・レイシン(ワン・ジン)もそのひとり。ある放課後、読書をしたまま眠り込んでしまった彼女が目を覚ますと、あたりは暗く、空気がいつもと違う。なぜか廊下にでても出口が見えない。彼女は学校に閉じ込められてしまったのです。校内をさまよううちに、荒らされた読書会の残骸や、会を開いて逮捕された教師たちの悪夢のような姿に遭遇し……。
ホウ・シャオシェンの『悲情城市』、エドワード・ヤンの『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』という台湾ニューウェイブを代表する作品で描かれたのが、まさにこの白色テロの時代。時を経て、ジョン・スー監督がふたたびテーマとしてとりあげました。
その背景には、やはり、昨今の中国による台湾への圧力など、嫌な時代に向かうのではという警戒心もあるのでしょう。
【ぴあ水先案内から】
立川直樹さん(プロデューサー、ディレクター)
「……かなりスタイリッシュでシュールな映像で描いた衝撃的なダーク・ミステリー……」
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佐々木俊尚さん(フリー・ジャーナリスト)
「……その結末のあまりのものがなしさに言葉を失う。台湾映画にまた傑作が登場した。」
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高橋諭治さん(映画ライター)
「……怪奇幻想が渦巻く異次元的な世界観は台湾版『サイレントヒル』と言うべきか。フラッシュバックを多用し、パズルのように哀しい真実を浮かび上がらせていく展開はドラマ性も高い。……」
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春日太一さん(映画史・時代劇研究家)
「……時代と権力に翻弄された人間模様を追った重厚な社会派ドラマなので、ホラーが苦手な人も堪能できるはず……」
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