2023年11月11日 18:00
森山直太朗、一〇〇本ツアーを振り返る独占インタビュー “この長いツアーで僕はようやく成人式を迎えられたんです”
せいぜい1時間かそこら。4時間という長さからしたら、出落ちみたいになっちゃう(笑)。だから客電がついたまま始めて、気づいたらあたりが暗くなっててお客さん一人ひとりの時間になっていたっていう状況を作らないといけないなと思ったんですよね。要するにそれは、お客さんに能動的な参加を促すことがこのライブにおいては重要になると思ったんです。明るいなかで僕がギターケースを抱えて出て行って、それを置いてそのままアカペラで歌い出す。ちょっとざわつきますよね。あの人何やってるんだろうって思いますよね。どうなるんだろう?って。
それで気づいたら明かりが消えていて、演者とお客さんとの一対一の関係が出来上がっている。さらにそこから、限りなく自然な形で【中篇】のメンバーが徐々に加わっていく。そうやって、まずは少しずつ日常と非日常が混じり出して非日常になっていき、その非日常の色合いや形もまただんだん変わっていく――最初はここに何もなかったんだよっていうところから始めることで生まれる、みんなと一緒に作っているっていう主体性こそが、追加公演の鍵になると思いましたし、それまでの100本と決定的に違うのはそこでしたよね。
――なるほど。