瀬戸山美咲が新国立劇場で海外戯曲『あの出来事』を演出
なぜさまざまな役をひとりで演じるのかについてはいろんな解釈があります。ひとりの人間にいろいろな面があるともとれるし、クレアから見るとすべての人が少年に見えるともとれる。そういう存在を生身の人間が演じるってとても難しくて、ぎりぎりまで試行錯誤をしています」
ある出来事に直面する女性・クレアを演じるのは南果歩。
「事件前のクレアのオープンな感じが、果歩さんのポジティブさと重なる。クレアは大きい出来事によって傷を負い、そこから心の旅をしていくことになります。色んな経験を経て怒りや悲しみ、憎しみをくぐり抜けるという姿を、果歩さんは実感をもってやってくださる。こんなにぴったりのキャスティングはないと思います」
少年役は、さいたまネクスト・シアター出身で蜷川幸雄のもと多数の作品に出演している小久保寿人。
「正直言って、小久保さんは今、悩んでいます(笑)。
でも悩まなくてはできない役だと思います。いろんな人物をただ声色や雰囲気で演じ分けるのではなく、ひとりひとりの背景をどこまで想像できるかの勝負だなと思って、稽古場でひとつひとつの役について全員で考えています。その分プレッシャーも大きくなると思いますが、まっすぐな方なので、とにかく一生懸命考えて毎日新しいものを持ってきてくれるんです」