くらし情報『瀬戸山美咲が新国立劇場で海外戯曲『あの出来事』を演出』

瀬戸山美咲が新国立劇場で海外戯曲『あの出来事』を演出

役者はふたりだが、この作品でもっとも特徴的なのは合唱団が登場すること。「上演地の合唱団が出ること」が上演の決まりとしてあるのだ。今回は既存の合唱団に依頼するのではなく、オーディションを行って今作のための合唱団を結成した。

「条件は“楽譜が読めること”だけ。200人も応募してくださって、面白い方がたくさんいたので30人を選ぶのはたいへんでした。結果、プロの方もカルチャーセンターで合唱をしている方も、20代から70代までが集まりました」

合唱団は歌詞を通じてふたりのキャストに訴えかけるなど、歌担当だけではない存在感を見せる。

「彼らが舞台上にいることの持つパワーがとても大きいですね。合唱団が入ることで見え方がまったく変わったり、シーンの意味がわかったりもするんです」

関わる全員で物語に対峙しながら、少しずつこの作品を形づくっている瀬戸山。
「なぜこの事件が起きたのか、この事件に遭遇したときにどうあるべきか……。答えのない問題を、観ている間観客の方も考えることになると思います。分かり合えない人とも一緒に生きていくということについて考えつつ、前向きな気持ちで観終えられる作品にできたらと思っています」

新国立劇場 小劇場にて11月26日(火)まで上演。

取材・文:釣木文恵
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