米中政府のコロナ初期対応を批判する『In the Same Breath』
Sundance.org
2016年のデビュー作『Hooligan Sparrow』、2019年の『一人っ子の国』に続き、中国生まれのドキュメンタリー映画監督ナンフー・ワンが、最新作『In the Same Breath』をサンダンス映画祭でお披露目をした。
今回のテーマは、新型コロナ。昨年秋のトロント映画祭では、やはり新型コロナをテーマにしたドキュメンタリー『76 Days』が上映されたが、そちらは都市封鎖された76日間の武漢の病院に焦点を当てるものだった。一方で、過去2作でも中国政府を批判したワンは、政府の対応にフォーカスする。2019年の12月から武漢では同じ症状を訴える人が続出していたことを見せるセキュリティビデオ、中国政府は死者数を3,300人と言っているが「桁がひとつ違う」という葬儀屋のコメント、政府のプロパガンダをそのまま垂れ流す現地メディアの様子などを、ワンは批判たっぷりに見せていくのだ。
批判の矛先は、現在ワンが住むアメリカにも向けられる。アメリカの政府は、当初、コロナの脅威を過小評価し、「アメリカは大丈夫だ」「心配する必要はない」と国民に言い続けた。アメリカのコロナ感染のメッカとなるニューヨークですら、ロックダウンが始まる直前まで同じメッセージが伝えられていたことを、ワンはこの映画で人々に思い出させる。