別居中の恋愛は不倫になるの?美人弁護士が答えます!
結婚して4年になります。しかし、夫の度重なる信用を失う行動で、2年前から別居しています。それでも一人の生活は寂しいので、職場で知り合った男性と最近お付き合いを始めました。夫とはほとんど連絡を取っていませんが、法的に籍は入っているので、夫から訴えられたら、慰謝料を払わなければいけないのでしょうか?
男性とのお付き合いが肉体関係に至っていない場合には、そもそも「不倫」にはあたりません。仮に肉体関係があったとしても、今回の相談者さんの事情を踏まえると「不倫」にはならない可能性が高いでしょう。
結婚している夫婦間には「貞操義務」があります。なので、夫婦の一方が配偶者以外の異性と「不貞行為(不倫)」をすれば、慰謝料を支払わねばなりません。この「不貞行為」は、肉体関係のことをいうので、どんなに仲良く交際をしていても肉体関係にない場合は、不倫にならないとされています。
逆に、夫婦の一方が他の異性と肉体関係を持てば常に不倫になるか、というとそうでもありません。例えば、20年以上も音信不通の夫が籍を抜いてくれず、法律上は「夫婦」のままである場合に、新たな交際が一切できないとなれば、それは人生寂しすぎますよね。
夫婦に貞操義務が課せられているのは、「夫婦間が仲睦まじく暮らしていくため」に他なりません。となれば、夫婦関係が修復不可能な程度に悪化している場合には、「貞操義務」を課す意味はあまりないですよね。ということで、法律上も、「原則として夫婦には貞操義務がある。ただし、夫婦関係が破綻している場合には、他の異性と肉体関係を持っても不倫とは評価しない」とされるわけです。
夫婦関係が破綻しているか否かの判断としては、婚姻期間・別居期間・夫婦間の肉体関係の有無や連絡の状況、夫婦関係が悪化するに至った事情等を総合考慮して判断されます。
今回は、旦那の度重なる背信行為によって夫婦関係が悪化し、結婚4年間のうち2年間は別居、音信もほぼ不通ということなので、「夫婦関係は破綻している」と判断される可能性が高いでしょう。
なので、新たな交際相手とおつきあいをしたとしても不倫とはならず、慰謝料を支払う必要はないものと思われます。
再婚して新たな幸せを手に入れてほしいですね。
●●は嘘?慰謝料を取り返すには・・・
友人の話ですが、彼が浮気相手の女性から、妊娠したといわれてお金を支払ったそうです。困った彼が彼女に事実を打ち明けて発覚したのですが…実は浮気相手が妊娠しているというのはウソだとわかりました。裏切られたことが許せなくて、ウソをついてお金をもらったそうなのです。たしかにこの女性を傷つけた彼も悪いと思いますが、ウソをついてお金を取るなんてやり方が汚いです。このお金、取り戻すことはできますか?
傷つけてしまったことはたしかによくないですね。ただ、浮気相手がウソをついてお金を受け取っていた行為は、法律的にも道徳的にも許されるべきではありません。
結論としては、そのお金を取り戻すことができます。
今回、彼が浮気相手に渡したお金は、法律上、「贈与=あげた」または、「示談金(慰謝料や中絶費用等の趣旨で渡したお金)」と評価されます。今回、彼が「贈与」または「示談金」として支払ったお金は、浮気相手が妊娠していないのであれば、渡さなかったはずですよね。となると、「妊娠しているかのごとく装ってお金をだまし取った」ことは詐欺にあたりますので、詐欺によって騙し取られたお金として返してもらえます。また、勘違いや誤解に基づいて契約や合意をした場合には、その契約や合意はなかったことにできるとされています(錯誤)。いずれにせよ「詐欺だから返してよ」とか「勘違いだから贈与・示談は無効だよ」と主張をすれば、そのお金を取り戻すことができるわけです。
実際に取り戻す方法は悩ましいですが、相手の気持ちにも配慮して、「浮気をしていたのは申し訳ないが、騙してお金をとることは許されることではない」としっかり伝えて、納得の上で返してもらうのがよいかもしれませんね。
今回はあくまで、通常の交際関係で起こったトラブルですが、これが仮に「結婚している場合」であれば話が違ってきます。
法律は、不倫や愛人関係を認めません。過去の判例でも、愛人に対し不倫関係の継続を目的にお金を貸したケースで、「愛人関係維持を目的とした貸付である以上、公序良俗に反する(社会の道徳観に著しく反する)ので、その返還請求を認めない」としたものがあります。このように、あまりに不道徳な目的がある場合、「不法原因給付」として、法律は返還請求を認めないという姿勢をとっているのです。今回のお話が、不倫相手にお金を渡したというケースだった場合には、本来は返還が認められるべきところ、愛人契約が公序良俗に反するとして、返還が認められなくなる可能性が出てきます。恋愛関係だったとしても、一人の女性とお付き合いすることの責任を常に男性には考えておいて欲しいものですね。
アディーレ法律事務所篠田恵里香弁護士(東京弁護士会所属)
債務整理、交通事故被害、離婚問題、刑事事件など幅広い案件を扱うアディーレ法律事務所に所属する弁護士。男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。また、離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。
外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格した経験から、独自に考案した勉強法をまとめた「ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた夢がかなう勉強法」(あさ出版)が発売中。また、公式ブログ「弁護士篠田恵里香の弁護道」も更新中。
●ブログ篠田恵里香の弁護道
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