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音信不通だった父の成年後見人になることに… 美人弁護士が答えます

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音信不通だった父の成年後見人になることに… 美人弁護士が答えます
20年以上音信不通だった父が危篤でみつかり、長女である私が後見人となることになりましたが私の所得が少なく、入院費などの負担が心配です。どうしたらいいですか?(壱)

まず、成年後見制度についてご説明しましょう。
成年後見制度とは、判断能力を欠いた状態となってしまった方々に「後見人」をつけることによってその方を保護し、支援する制度です。
認知症や重大な精神疾患などの理由で判断能力を欠いた状態となってしまうと、不動産や預貯金などの財産を管理することが難しくなります。また、身のまわりの世話や治療を依頼する必要があっても、介護サービス施設や病院への入院に関する契約をひとりで行うことが難しい場合があります。自身の財産に関する取引・処分や遺産分割協議などについても、自身に有利なのか不利なのか判断することが難しい場合が多いでしょう。そこでこのような方に後見人をつけることによって財産管理等を行えるようにするのが成年後見制度です。
今回は、相談者の方が家庭裁判所から後見人に選任され、お父様の成年後見人になったケースのようですね。
かなり不安を抱えていらっしゃるようですが、相談者の方に経済的な負担が重くのしかかることはありませんので安心してください。なお、今回後見人がつくことになったお父様のことは「被後見人」という呼び方をします。
成年後見人の職務として、被後見人の身上監護があります。身上監護職務の一環として、被後見人が入院を拒絶する意思表示をしない限り、被後見人に代わって(代理して)、あなた自身が病院に入院する契約を締結することができます。しかし、あなたがお父様の入院について、身上監護として「病院側との診療及び入院に関する契約」を結んでも、その内容は、「被後見人に対して適切な治療・入院をしてください」ということと、「その対価は被後見人の財産から支払います」という約束となるため、あなた自身の懐から自腹で出費をしなければならない義務はありません。通常は、成年後見人が被後見人の現金・預貯金等の財産を管理しますので、ここから必要な費用は支出すればよいですし、仮にやむを得ず立て替えた実費分がある場合でも、その都度本人の財産から精算して構いません。
また、後見人は、被後見人に対する重大な責任と義務を負い、また、職務遂行のためには相当な労力を求められますので、一定の報酬を請求することもできます。弁護士や司法書士などの第三者が後見人の場合には、ほとんどのケースで相当額の報酬が請求されることになると思われますが、被後見人の親族が後見人となった場合にも報酬は請求できます。

報酬は自動的に支払われるものではありませんので、報酬を希望する場合は、家庭裁判所に対し、「成年後見人に対する報酬の付与」という申立てをする必要があります。家庭裁判所がそれを認め、相当と判断した金額について、被後見人の財産から報酬を受けとることができます。
報酬額の基準は法律で決まっているわけではありませんが、裁判官が、後見人としての職務内容・実績、成年後見人等が管理する被後見人等の財産の内容・状況等を総合考慮して、裁量により、各事案における適正妥当な金額を算定します。
専門職が成年後見人等に選任された場合の報酬額のめやすとしては、「通常の後見事務を行った場合の報酬として月額2万円」となっています。
このように、後見人に選任された場合、被後見人のために身上監護・財産管理等の職務を誠実に行う必要はありますが、被後見人の入院費用等、本人のための支出について後見人が負担を強いられるわけではありませんので、安心してくださいね。

アディーレ法律事務所篠田恵里香弁護士(東京弁護士会所属)
債務整理、交通事故被害、離婚問題、刑事事件など幅広い案件を扱うアディーレ法律事務所に所属する弁護士。男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。また、離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。
外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格した経験から、独自に考案した勉強法をまとめた「ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた夢がかなう勉強法」(あさ出版)が発売中。また、公式ブログ「弁護士篠田恵里香の弁護道」も更新中。
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