お金の貸し借りや飲食代のツケなど、それぞれの時効を教えて! イケメン弁護士が答えます
今回は佐藤弁護士
よくテレビなどで、事件があった時に「時効という言葉を聞きますが、お金の貸し借りやモノなど、さまざまな時効の種類について教えてください。
ワイドショーやドラマでは、「時効」という言葉がよく出てきますね。また友達同士の会話でも「もう、それ時効じゃん!」などと言いますね。実は、私も、昨日友達が昔の恋愛話をしているときに「もう時効だよね」と話をしていました(笑)
さて、法律上、時効にはいくつかの種類があります。ワイドショーなどでよく使われている「時効」は、主に「公訴時効」という時効を指していることが多いかと思います。この時効は、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると裁判を提起できなくなることをいいます。みなさんも記憶に新しいと思いますが、殺人罪の公訴時効がなくなったとテレビで話題になっていましたね。
また、「公訴時効」以外にも、一定の時の経過によって権利を消滅させる「消滅時効」や一定の時の経過によって権利を取得する時効である「取得時効」等があります。
こちらの方は、あまり知らない人も多いかと思います。
「消滅時効」は、例えば、ご質問にあったお金の貸し借りだと、時効は10年ということで、お金を貸した人が借りた人に対して、10年間何も請求せずに借りた人が時効を主張した場合、お金を返してもらえなくなってしまうということです。
そして、「取得時効」は、びっくりされるかもしれませんが、なんと、他人の土地などを自分のものだと思いながら10年間占有を続けると、自分のものになってしまいます!仮に他人の土地だと知っていたとしても、10年間占有を続けると、それもまた、自分のものになってしまうんですよね。もっとも、平穏・公然と占有をしないといけないので、他人の土地などに無理やり来て10年間占拠すればいいというものではないですけどね。
このように時効にはいろいろな種類があります。先ほど説明した「消滅時効」については、お金の貸し借りは、基本的には10年ですが、例えば、居酒屋の食事代については、1年で時効となっていたり、お医者さんなどの診療費は3年、弁護士の報酬は2年になっていたりと、権利によって色々な時効の期間が法律で規定されています。
このように一言で「時効」といっても、法律上、さまざまな時効があります。法律で時効が定められている理由は、一定の期間、継続した事実状態を尊重するためでもあります。
今、みなさんのなかで、忘れている権利はありませんか?もしかしたら、もうそろそろ時効かもしれませんよ。
アディーレ法律事務所
佐藤大和弁護士(東京弁護士会所属)
債務整理、交通事故被害、離婚問題、刑事事件など幅広い案件を扱うアディーレ法律事務所に所属。子どもの将来を守るための法教育に注力する一方で、弁護士を身近にするべくテレビ・雑誌などに多数出演。静岡英和学院大学短期大学部の非常勤講師として民法を学生にわかりやすく教える(2012年)。
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http://www.adire.jp/