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佐川急便の「駐車違反身代わり出頭」問題…提案者や依頼者はどう罰せられる?

11月22日、佐川急便東京営業所では、駐車違反での検挙を免れるために、身代わりとして知人を出頭させていたことが明らかになりました。身代わり出頭は、暴力団の世界ではよくあると聞きますが、佐川急便でもあったとは、びっくりですね。

今回の件に関しますと、①身代わりの提案をした人、②提案されて身代わりを知人に頼んだ人、③知人に頼まれて身代わりとして出頭した人、という3種類のキャラクターが存在するようですが、それぞれどのような罪に問われるのでしょうか。解説していきたいと思います。

佐川急便の「駐車違反身代わり出頭」問題…提案者や依頼者はどう罰せられる?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/


 

■身代わり出頭の扱いと各人の罰則はどうなっている?


身代わり出頭は、真犯人への捜査を妨害するものとして、日本の刑事司法作用を犯す重大な犯罪になっています。刑法103条には、犯人蔵匿罪と犯人隠避罪が規定されていますが、「蔵匿」とは場所を提供して匿うこと、「隠避」とは蔵匿以外の方法と定義づけられますので、身代わり出頭は、犯人隠避罪の構成要件にあたることとなります。

 

①身代わりの提案をした人
この方は、実際に身代わり出頭したわけではなく、直接身代わり出頭を唆したわけではありませんが、間接的に唆したと捉えることができますので、刑法61条2項の間接教唆にあたります。つまり、犯人隠避罪の間接教唆犯となります。


 

②提案されて身代わりを知人に頼んだ人
この方は、実際の身代わり出頭者に直接身代わりを唆しているので、単純に犯人隠避罪の教唆犯(刑法61条1項)になります。

 

③知人に頼まれて身代わりとして出頭した人
この方は、まさに身代わり出頭した者ですので、犯人隠避罪の正犯となります。

 

■出頭を拒否した場合はどうなる?


また、身代わりをせず、出頭自体を拒否した場合はどうなるのか。

これについては、処罰の対象になりません。自ら犯罪を犯した者が、警察の手を免れるために身を隠すということは期待できない、つまり、自ら出頭しないことは、法的に非難できるものではないというのが法律の立場です(それゆえに、自首が減刑の対象となるのです)。ただ、逃走の恐れありとのことで、駐車違反でも、道交法違反で逮捕状を取られ、身柄を拘束されることはありうるかと思います。

 

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。
エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

【画像】

*ツルカメデザイン / PIXTA(ピクスタ)

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