タクシー運転手に「とにかく急いで!」結果、スピード違反で捕まった…法的責任は誰に?
なお、「旅客運送契約」には、「運転手は目的地まで合理的な経路を選択する」という内容も含まれていると考えられるため、タクシーが遠回りしたことによって運賃が増えた場合、乗客は余計に発生した分の運賃について支払う義務はないと考えられます。
もっとも、タクシーの運転手の選択した経路が合理的といえるか否かは難しい問題です。道路工事等により迂回する必要がある場合や、乗客の指示により結果的に遠回りしてしまった場合は、運転手に責任はないといえますし、複数の経路がある場合に最短距離を通らなかったからといって、直ちに合理的な経路ではないとはいえないと考えられます。
合理的な経路ではないといえるためには、運転手がわざと遠回りした場合や、乗客の指示に従わなかったなど、運転手の不注意が明らかな場合に限られると考えられます。
*著者:弁護士 鈴木翔太(鈴木法律事務所。東京弁護士会所属。①依頼者の立場に立って考える、②難解な法律問題をわかりやすく説明する、③迅速に対応し、随時報告をすることを基本に据えている。)
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