乗客が電車を利用する場合、乗客と鉄道会社の間に旅客運送契約が成立することになり、この契約に基づいて電車により乗客が目的地に移動することとなります。
ただ鉄道会社はこの旅客運送契約に関して営業規則を定めており、規則上鉄道会社は運航不能や2時間以上の遅延の場合などには料金の払い戻しはするものの、それ以上の損害等について責任を負わないことになっています。したがって、乗客が鉄道会社に対して損害賠償することはできません」(大窪弁護士)
なんと、電車に乗る時点で鉄道会社と乗客との間でこの旅客運送契約は成立しているそうです。知らずに電車を利用している方も多いのではないでしょうか?
「過去にこの営業規約の有効性について裁判で争われたことがありますが、裁判所は、営業規則で免責規定を設けることには相応の合理性を認めることができることから、鉄道会社は旅客運送契約上、本件列車遅延による精神的損害について損害賠償責任を負わないとして乗客側の請求を認めませんでした(平成18年9月29日東京地裁判決)」(大窪弁護士)
■遅延の原因を作った人物に対してはどうなる?
では、遅延の原因を作った人物に対しての損害賠償請求はどうでしょう?
「上記裁判例の理屈からすると、運送契約上、そもそも乗客には遅延することなく運送してもらう権利自体がありません。