くらし情報『中学校が「問題生徒」のリストを地域に配布…違法性はない?』

中学校が「問題生徒」のリストを地域に配布…違法性はない?

しかし、今回のケースでは、外部提供に当たり審議会への諮問や市長への届出などを行っておらず、上記の市条例12条の要件を充たしていないと思われますので、市条例違反の疑いがあります。

なお、本件は、埼玉県条例及び個人情報保護法の規定を見ますと市条例のほうが外部提供の要件が厳格と考えられ、「都道府県条例と市区町村条例の優劣」という難しい論点がありますが、紙幅の関係上割愛します。

■配布された資料を流出させた者の責任

まず、今回のケースでは流出者が誰かは特定されていないようですので、流出させた人を外部からの出席者である個人だと仮定してお話しします。

この場合、流出させた個人は個人情報保護法上の罰則は科されません。そのため、流出させたことによる生徒本人のプライバシー侵害に当たり、損害賠償義務を負い得るにとどまります。今回のケースは、地域で連携して非行防止に取り組むという目的に対して、手続違反や情報の取扱いに不注意があったところに問題があったといえるでしょう。

改正個人情報保護法が平成29年5月30日に施行されるように、個人情報の取扱いにはより一層の注意を必要とする時代になっていますので、とくに企業や自治体は個人情報が流出しないよう対策を取ることが大事ですね。

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