悪口を言い続けた86歳女性が逮捕…どこからが法に触れる?
「悪口」ということになると、「名誉毀損罪」を連想することでしょう。名誉毀損は、社会的評価の低下をもたらすものであれば成立するとされています。
しかし、相手を貶めるような言葉を浴びせ続けた場合といっても、本人が気分を害することはあっても、必ずしも社会的評価の低下まであるわけではありません。程度問題ではあるものの、名誉毀損罪とはならないことも多いことでしょう。
侮辱罪という罪もあり、これに当たるのではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、侮辱罪の保護法益も人の外部的名誉であると考えるのが一般的であり、つまり、社会的評価の低下がある場合に成立し、感情を害したから成立するというものではありません。この点は、一般の方のみならず警察官も含めて誤解している場合が多いと感じます。
そうすると、名誉毀損と侮辱はどこで区別するかですが、事実摘示の有無によって区別することになります。
たとえば、
・「Aさんは女性の胸を揉んでいた」
・「Aさんはいやらしい」
という例を挙げるとすれば、前者は「女性の胸を揉む」という事実があるのに対して、後者にはそれがない、という形で考えます。そのため、前者であれば名誉毀損、後者であれば侮辱により検討するということになります。