ダイレクトメールを配達せずに破棄…どんな罪に問われる?
可能性があるのは、信書隠匿罪、(業務上)横領罪、窃盗罪、器物損壊罪、私用文書毀棄罪などですが、結論からいうと、器物損壊罪のみ成立すると考えられます。
まず、ダイレクトメールは基本的には「信書」に当たらない場合が多いので、信書隠匿罪にあたる可能性は低いです。
横領罪や窃盗罪は、不法領得の意思という物を自己の所有物とする意思が必要であり、廃棄目的の場合には成立しません。
私用文書毀棄罪にいう私用文書とは、権利義務に関する文書をいいますので、やはりダイレクトメールは基本的に該当しないことになります。
したがって、ドライバーがダイレクトメールを配達せずに廃棄した行為は、刑法上の器物損壊罪となります。
ただし、運送会社が荷主に謝罪し、自主的に補償するなどした場合は、実際には刑事事件としては立件しない可能性も高いでしょう。再配達や荷物量の急増による輸送網の疲弊が大きな問題ともなっており、対策が求められるところだと思います。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。
不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
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