亡くなった夫に隠し子がいて遺産分割を要求された…支払い義務はある?
さてそんな“隠し子”がいて、遺産相続を名乗り出た場合の遺産の分配ですが、端的にいえばその方も立派な相続人のひとりであり、相続権を持つのが原則です。
しかし、相続権を持っているのは法律上の親子関係まで有している必要があります。
この点、婚姻関係にある男女の間で生まれた子については、原則として法律上の親子関係があるものと推定されますが(民法772条1項)、婚姻後200日以内に生まれた子や、婚姻解消後300日経過後に生まれた子、さらには婚姻関係にない男女から生まれた子については嫡出推定の恩恵を受けず、別途法律上の親子関係を発生させる認知の手続きをとる必要があります。
そのため、仮にたとえば亡父との間に親子関係があることが明確であっても、自分の母親との間の関係上、嫡出推定を受けず、認知も受けていない場合には相続権はないことになります。
ただし、その場合、子として、父の死後3年以内に認知の訴えを提起することで、父の死亡後でも認知の効果を得ることができます(民法787条)。なお、かつては法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子を嫡出でない子として、嫡出子に比べて相続分が2分の1とされておりましたが、平成25年9月4日、最高裁により意見である決定が出されたため、それを受けて民法900条4号が改正され、嫡出・非嫡出問わず、相続分は平等として扱われることになりました。