マンション購入時に知らなかった近隣の工事…騒音被害で損害賠償できる?
ただし、騒音があるからといって直ちに瑕疵とはなりませんので、前出の受忍限度の考え方はここでも妥当すると思われます。
なお、近隣における建設工事は、半年や1年程度のものが大半だと思いますが、その長短は瑕疵かどうかの判断にも影響するとともに、損害の大小にも影響すると考えられます。
■何が賠償の対象となるか
さて、瑕疵担保責任が認められるとして、賠償の対象となる損害は二つ考えられます。
一つは、騒音の存在によりマンションの交換価値が下がっているとして、本来の交換価値との差額を賠償の対象(損害)とすることが考えられます。この場合には、交換価値の低下を客観的に証明しなければなりません。
ただし、近隣工事が半年ないし1年で終了し、その後は騒音が無くなるとすると、賠償の対象となる損害がどの範囲になるのかは非常に難しい問題を含みます。
もう一つは、騒音の存在により精神的な損害を被ったとして慰謝料請求をすることが考えられます。近隣工事による騒音が瑕疵と評価される場合には、通常生じる損害として賠償の対象となると考えられます。
■夜勤の人が昼間に眠れない損害は?
先に出てきた騒音規制は、睡眠を想定して夜間の騒音を規制しています。