死刑執行はなぜ時間がかかる?その理由を弁護士に聞いてみると…
したがって、6ヶ月以内に死刑施行しないことは、形式的には明らかに刑事訴訟法475条に抵触しています。もっとも、同条1項が死刑執行を法務大臣の命令によるとした趣旨は、通常の刑罰執行は検察官の指揮によるところ、生命を奪う最大の人権侵害である死刑施行を慎重ならしめることにあります。
下級審裁判例(東京地裁平成10年3月20日判決)の判示ですが、同条2項の6ヶ月以内の規定は、法的拘束力のない訓示規定であって、法務大臣が6ヶ月以内に死刑執行しなかったとしても、違法の問題が生じないと判断されたことがあります。
したがって、同条2項は訓示規定であるため、違反していても具体的な違法の問題は生じないということになります」(星野弁護士)
やはり人命がかかっているだけに、慎重な判断が求められるため、時間をかけているのですね。
■再審請求中の死刑執行に問題は?
次に、再審請求中の死刑囚に対して死刑を執行することについてお伺いしました。「再審請求中の死刑囚につき死刑執行が中断されるとの規定はどこにもありません。よって、再審請求中であっても、死刑執行は可能です。
これまでは、再審請求中の死刑囚については、死刑執行を慎重ならしめるために、ある程度順番を後回しにしてきた事情があります。