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車掌が寝坊して新幹線が遅延…乗客に補償はある?

車掌が寝坊して新幹線が遅延…乗客に補償はある?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/


7月27日、車掌が寝坊し乗務する新幹線に乗り遅れ、約10分の遅れが出たという報道がありました。

在来線と異なり、あまり遅延をすることがない新幹線ですが、遅延した場合は乗客に補償等はあるのでしょうか?解説してみたいと思います。

 

■新幹線が遅延した場合は乗客に補償はあるのか


商法第590条を根拠にすれば、JR東日本は乗客に対し、乗客を新幹線で運送する債務を負っており、使用人である車掌のミスについても責任を負います。

したがって、車掌の寝坊等によって新幹線が著しく遅れたような場合、乗客としては、JR東日本の債務不履行(約束違反)を理由として、生じた損害について賠償請求することが一応は考えられます。

しかし、JR東日本の場合、約款(旅客営業規則)が存在しており、列車が運航時刻より遅延した場合についての規定(旅客営業規則第282条(2))も設けられておりますので、こちらが適用されることになります。

これによると、乗客としては、「列車が運行時刻より遅延し、そのため接続駅で接続予定の列車の出発時刻から1時間以上にわたって目的地に出発する列車の接続を欠いたとき又は着駅到着時刻に2時間以上遅延したとき」、旅客運賃・料金の払い戻し、有効期間の延長、無賃送還といった補償を求めることができるだけということになります。

ですので、10分の遅れでは補償を求めることはできません。

 

■電車が遅延した場合も新幹線と同様


電車が遅延した場合も、新幹線が遅延した場合と同じです。


様々な事情によって時刻表どおりいかないことは仕方がないことですし、乗客を運送する債務といっても時刻表どおりの到着まで保証しているわけではないと考えられます。

電車が多少遅れただけでは損害の賠償を請求することができませんし、約款があるのであれば、約款がよほど不当な内容でない以上、約款が適用されるわけです。

 

■電車や新幹線の遅延を故意に引き起こした人がいたら……?


新幹線・電車の遅延を故意に引き起こした人がいたような場合、その人は不法行為を行ったといえますので、鉄道会社はもちろん、損害を被った乗客も、被った損害についてその人に対して賠償請求することができます。 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

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