台風でライブが中止…出演料の補償やチケット代の払い戻しはどうなる?
このように契約当事者双方が対価的な債務を負っている場合で、当事者双方の責任でない事情によって一方当事者が債務を履行することができなくなった場合、公平の見地から、他方当事者の債務も消滅するとされています(民法536条1項危険負担の債務者主義)。
危険負担というのは、契約当事者双方が対価的な債務を負っている場合において、一方の債務だけが債務者の責任でない事情によって履行不能となった場合に、他方の債務をどう扱うかという問題です。
一方の債務が消滅した危険(リスク)を、債務者(消滅した債務についての)と債権者(消滅した債務についての)のどちらが負担するかという問題です。
台風は誰の責任でもありませんから、台風が原因で主催者の債務が履行不能となった場合、チケット購入者の代金支払い債務も消滅することになるわけです。
そして、チケット購入者が既に代金を支払っていた場合、主催者の不当利得となりますので、チケット購入者は、主催者に対してチケット代金の返還を請求できることになります」(冨本弁護士)
■出演者への出演料は?
「結論からいいますと、特約がない場合、出演者は出演料を請求することはできないと考えます。