ペット禁止なのに犬を飼っている住人…追い出すことはできる?
実は、用法違反があったとして直ちに賃貸借契約を解除することができるかというと、そう簡単にはいきません。
実際、ペット飼育禁止の特約付きで賃貸借契約を締結し、賃借人がペットを飼育したものの、賃貸借契約の解除が認められなかった事案があります。なぜでしょうか。
実は、賃貸借契約を解除するにあたり、「賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない特段の事情」がある場合には、契約解除は認められないのです。
賃貸借契約は、売買契約等と異なり、当事者間の信頼関係を基礎とする継続的契約なので、賃借人に用法違反があったとしても、当事者間の信頼関係が維持されているのであれば、契約の基礎が残っている以上、解除によって賃借人の利用権を妨げることはできないのです。
■契約解除が認められない場合とは?
例えば、賃借人が犬を飼っているケースで考えてみましょう。
部屋内に犬の小屋があり、食事や排泄物の処理についても訓練が行き届いていて、悪臭や泣き声もほとんどなく、建物内の柱や畳等が汚れたり損傷したりしておらず、賃借人もその犬を最後に飼育を打ち止めすることが確実視されるような場合には、賃貸人にとって不利益が多いというわけではありません。