教授が試験問題を受験者に漏洩…どんな罪に問われる?
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ある大学の名誉教授が日本語ワープロ検定の試験問題を事前に受検者に漏洩していたとの報道がありました。
問題の漏洩や受験者のカンニングなどはしばしば発覚しますが、法的にはどういった問題点があるのか解説してみたいと思います。
■問題漏洩にはどんな法的問題があるのか
まず、今回の日本語ワープロ検定試験を主催しているのは同試験の検定協会である民間の機関です。
これを前提として、試験問題の漏洩によりどのような被害が誰に生じているかについて考える必要があります。本件の漏洩行為により被害を被っているのは、この日本語ワープロ検定試験を実施している検定協会自体です。
一般的に検定試験は、合格者に一定の能力を有することが保証されることに社会的意義が認められます。
しかし、試験問題の漏洩行為が行われることにより、試験が有する適正な審査基準という機能が失われ、試験の信用性や社会的価値が損なわれることになります。その結果、検定試験の受験者が減少し、これを主催者の事業活動に支障をきたす場合があります。
このような、人や法人の業務を妨害する行為について、刑法は、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(刑法233条後段)」