【弁護士が語る!】テレビ番組制作会社や、芸能プロダクションでの働き方の難しさ
しかし、このような業務委託契約の場合でも、働き方の実態が一般的な労働者と変わらない場合には、そのタレントは「労働者」として扱われます(実際に平成28年に厚生労働省労働基準局がその旨の文書を各種芸能関係の団体に送付していますし、裁判例でも雇用契約類似の契約、と認定されたものもあります)。
そうすると、仕事を選べない若手の芸人、モデル、アイドルなどは、事務所の指揮命令に従って仕事をしているのが実情と思いますので、多くのケースで「労働者」と判断される可能性が高いのではないでしょうか。仕事を選べないタレントの数は、選べるタレントよりも圧倒的に多いわけですから、結果として多くのプロダクションが労使トラブル、法的紛争の多発リスクを抱えているということです。
ご質問があったプロダクションでは、タレントとの間の指揮命令関係がどうなっているかわかりませんが、芸能界は人気商売ですので、タレントとの法的トラブルはプロダクションにとって即、致命傷となってしまう可能性もあります。そうなる前に、今のうちにタレント(マネージャーらスタッフも)の働かせ方や待遇などを見直し、労務管理が適切に行える体制を整え、紛争リスクを小さくしましょう。