産後復帰も独立も難しい!? 美容の現場で働くエステティシャンにインタビュー
母親が働きやすい職場がたびたびメディアに取り上げられていますが、美容業界は出産退職が珍しくありません。理由は勤務体系、休暇中のブランクなど。
今回は美容の現場の産後復帰と独立について、愛知県のエステサロン経営・マネージャーであり、美容に特化したコワーキングスペース「D→START」の安城オーナーを務める近藤利津子さんと、そのママさんスタッフにお話を聞きました。
近藤利津子さん
愛知県安城市にあるエステサロン「サロンブランシュ」のマネージャー、近藤さんの美容キャリアは35歳から。マンションの一室を借りた「マンションエステ」からスタートしました。
「お客が来ない状況に「このままじゃいけない!」と一念発起しテナントへ移動。努力の甲斐あってお客が入るようになり、手狭になって移動をテナントオーナーに相談したところ、「いま駐車場の土地があるからそこをビルにして、店舗設計から関わってみる?」と提案をうけ、現在のサロンが誕生。そして10年以上経った今年、2階をコワーキングスペースにしました。」
そんな近藤さんのサロンには、この業界にしては珍しく出産を経て復帰したエステティシャンのかたが在籍しています。
「サロンブランシュ」のみなさん
ママさんスタッフの1人である田中さんに、復帰を決めた理由についてうかがうと、
やっぱりこの職場が好きだったのが大きいです。きっと違う仕事だと思ったらやりたいと思ってないです(田中さん)
と、仕事内容より職場のよさが先に挙がりました。
家にいると、働いている人が羨ましく思うのが出てきちゃって。でもまだ子どもが1歳だし、働いてもフル入れないし…。『働きたい』って言っちゃいけないと思ってました(田中さん)
そんなとき、たまたま近藤さんと連絡を取る機会があり、ポロッと「働きたい」と呟いたのがきっかけで戻ることに。またお子さんを預かってくれるかたも見つかり、ご家族にも「やっておいで」と送り出してもらったそう。近藤さんにも「どうしてこのサロンに戻ってくるのか」を聞いてみると、「子どもの顔を見せにきてくれたり、こちらもお食事会に声をかけたりとか、そういう環境があったからでしょうか」と、戻りやすい土台があったようです。
「ブランクがあるので、復帰には不安もあった。
復帰にあたり、技術を覚えているのかのチェック、新しいメニューの施術の練習、勤務可能時間の相談などを近藤さんとしっかり確認し、不安をなくしていったそう。
働き始めてからのほうが、全てにおいて前向きになったと思います。家でずっと子育てと家事だけのときより、今のほうがどちらも上手にできているかな(田中さん)
お客さんにも「戻ってきたんだね!」と喜ばれ、近藤さんとしてはサロンの信用にもつながっている実感も得ているようです。
近藤さんと田中さん
田中さんは長い通勤時間かけて出勤して、子どもを預かってもらえる間しか勤務できないんです。でもこの仕事が好きだからやりたいって。やりたいことがあるときは、どこか譲歩するところを見つけないといけないのかもしれません(近藤さん)
結婚・出産を経たネイリストやエステティシャンは、自宅サロンやマンションエステで独立するかたもいます。しかし集客ができず閉店するケースも。
全身マッサージ1時間3千円でやってくれる自宅、マンションエステがあると聞きます。価格設定が、開店当初に来てくれたお友達向けの「お友達価格」のままになってしまう。だけどこの値段設定は、美容業界全体の値段も下げ、自分が持つ技術力の価値も下げていることにも気付いていないんですね。(近藤さん)
独立は技術だけではなく、経営に関わる細かいところまで全部ひとりだけで決めなくてはいけません。退社したスタッフが独立について、近藤さんに相談にくることも。
わたしもマンションエステがスタートでした。でも、自宅とかマンションだと看板が出せなかったり、あまり宣伝もできない。ひっそり開店して閉店していくサロンがたくさんあります。
餅は餅屋。「私自身もたくさん助けていただきました。声を出してくれれば、なにか教えることはできますから」、と近藤さんはお話くださいました。
仕事をして妊娠をすれば、どの業種の女性も産後のキャリアについて考えなければなりません。
もし戻る場所があるなら一度声を出してみる。自分だけで調べず、その道の先輩に聞いてみる。
※「D→START 安城」では、「起業相談会」・「お1人サロンのおしゃべり交流会」なども毎月開催予定。東海地方で美容・サロンにお悩みを持つかたは相談してみては。
サロンブランシュ
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D→START 安城
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ライター:三谷 アイ
今回は美容の現場の産後復帰と独立について、愛知県のエステサロン経営・マネージャーであり、美容に特化したコワーキングスペース「D→START」の安城オーナーを務める近藤利津子さんと、そのママさんスタッフにお話を聞きました。
美容キャリアは35歳から
近藤利津子さん
愛知県安城市にあるエステサロン「サロンブランシュ」のマネージャー、近藤さんの美容キャリアは35歳から。マンションの一室を借りた「マンションエステ」からスタートしました。
「お客が来ない状況に「このままじゃいけない!」と一念発起しテナントへ移動。努力の甲斐あってお客が入るようになり、手狭になって移動をテナントオーナーに相談したところ、「いま駐車場の土地があるからそこをビルにして、店舗設計から関わってみる?」と提案をうけ、現在のサロンが誕生。そして10年以上経った今年、2階をコワーキングスペースにしました。」
そんな近藤さんのサロンには、この業界にしては珍しく出産を経て復帰したエステティシャンのかたが在籍しています。
「復帰したい」と思える職場
「サロンブランシュ」のみなさん
ママさんスタッフの1人である田中さんに、復帰を決めた理由についてうかがうと、
やっぱりこの職場が好きだったのが大きいです。きっと違う仕事だと思ったらやりたいと思ってないです(田中さん)
と、仕事内容より職場のよさが先に挙がりました。
家にいると、働いている人が羨ましく思うのが出てきちゃって。でもまだ子どもが1歳だし、働いてもフル入れないし…。『働きたい』って言っちゃいけないと思ってました(田中さん)
そんなとき、たまたま近藤さんと連絡を取る機会があり、ポロッと「働きたい」と呟いたのがきっかけで戻ることに。またお子さんを預かってくれるかたも見つかり、ご家族にも「やっておいで」と送り出してもらったそう。近藤さんにも「どうしてこのサロンに戻ってくるのか」を聞いてみると、「子どもの顔を見せにきてくれたり、こちらもお食事会に声をかけたりとか、そういう環境があったからでしょうか」と、戻りやすい土台があったようです。
復帰によって前向きになれた
「ブランクがあるので、復帰には不安もあった。
けれども、お店のみんながフォローしてくれました」と笑顔で教えてくれた田中さん。
復帰にあたり、技術を覚えているのかのチェック、新しいメニューの施術の練習、勤務可能時間の相談などを近藤さんとしっかり確認し、不安をなくしていったそう。
働き始めてからのほうが、全てにおいて前向きになったと思います。家でずっと子育てと家事だけのときより、今のほうがどちらも上手にできているかな(田中さん)
お客さんにも「戻ってきたんだね!」と喜ばれ、近藤さんとしてはサロンの信用にもつながっている実感も得ているようです。
近藤さんと田中さん
田中さんは長い通勤時間かけて出勤して、子どもを預かってもらえる間しか勤務できないんです。でもこの仕事が好きだからやりたいって。やりたいことがあるときは、どこか譲歩するところを見つけないといけないのかもしれません(近藤さん)
美容ってひとりじゃ絶対にできない
結婚・出産を経たネイリストやエステティシャンは、自宅サロンやマンションエステで独立するかたもいます。しかし集客ができず閉店するケースも。
全身マッサージ1時間3千円でやってくれる自宅、マンションエステがあると聞きます。価格設定が、開店当初に来てくれたお友達向けの「お友達価格」のままになってしまう。だけどこの値段設定は、美容業界全体の値段も下げ、自分が持つ技術力の価値も下げていることにも気付いていないんですね。(近藤さん)
独立は技術だけではなく、経営に関わる細かいところまで全部ひとりだけで決めなくてはいけません。退社したスタッフが独立について、近藤さんに相談にくることも。
わたしもマンションエステがスタートでした。でも、自宅とかマンションだと看板が出せなかったり、あまり宣伝もできない。ひっそり開店して閉店していくサロンがたくさんあります。
頑張ってもきっと相談できるところもないだろうし、こちらも聞いてももらえないと情報があげられない。美容ってひとりじゃ絶対にできないので、もっと自分をオープンにして、情報をどんどん取りに来てほしいです。そして1年先、5年先を思い描いて欲しい」(近藤さん)
餅は餅屋。「私自身もたくさん助けていただきました。声を出してくれれば、なにか教えることはできますから」、と近藤さんはお話くださいました。
仕事をして妊娠をすれば、どの業種の女性も産後のキャリアについて考えなければなりません。
もし戻る場所があるなら一度声を出してみる。自分だけで調べず、その道の先輩に聞いてみる。
たったその一歩で、目の前の光景がガラっと変わるかもしれません。
※「D→START 安城」では、「起業相談会」・「お1人サロンのおしゃべり交流会」なども毎月開催予定。東海地方で美容・サロンにお悩みを持つかたは相談してみては。
サロンブランシュ
D→START 安城
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ライター:三谷 アイ