夫婦ってなんだろう?共働きの夫婦を100人集めた写真詩集『メオトパンドラ』が描く世界
夫婦ってなんだろう?
そんな問いにヒントを与えてくれたのがニューフォイルから出版された写真詩集「メオトパンドラ」でした。写真家のキッチンミノルさんが雑誌「AERA」で共働き夫婦を追って連載。自身も被写体となった詩人の桑原滝弥さんが100組の夫婦を厳選し、詩を添えて紹介されていました。
今回は詩人桑原滝弥さんの先行出版ライブの様子と合わせて本書を紹介します!
10年先の未来を見つめて撮る、雑誌「AERA」の人気連載から生まれた写真詩集
キッチンミノルさんは雑誌「AERA」で7年間、350組の共働き夫婦を撮影してきました。その中から、桑原滝弥さんが100組を選び詩を書き下ろし一冊に。
写真家のキッチンミノルさんはすべての夫婦に「視線の先に10年後の家族の風景があると思ってください」と言って撮影。それぞれの夫婦は見る方向もバラバラだったり真顔だったり。そのアンバランスさが、夫婦の日常を覗かせてくれるような気がしました。
同じ空気を持つ夫婦は一組もない。「ほかと違ってもいい」という安心感を覚えました。
桑原滝弥という詩人が放つエネルギー
原宿クロコダイルにて自作の詩を朗読する桑原さん
8/28に行われた桑原滝弥さんのライブ会場で、写真詩集が先行販売されました。
桑原さんはスキンヘッドに柄シャツを羽織る、お洒落な男性という印象を持つかた。しかし、詩を聴いているとどことなく『女性』的な部分も感じさせる。
イベント後もスタッフを労い、お客さんにも柔和な笑みを向けるなど、丁寧に人と接する姿に優しさを感じました。「メオトパンドラ」に添えられた詩も、桑原さんが写真を見て率直に感じた“人”への気持ちが綴られていて、まるで家族の一員になったかのような感覚を覚えました。
夫婦ってなんだろう?に対する答えとは
写真家のキッチンミノルさん(左)、詩人の桑原滝弥さん(右)
「夫婦ってなんだろう?」 もちろん十人十色なので、正解はありません。
でも、本書に出てくる100組の夫婦、お二人があとがきで描いている夫婦像などから「あ、理想の夫婦像だ」「うちに似ているかも」が見つかるかもしれません。
筆者は結婚の経験はないですが、この写真詩集を通して夫婦とは、『二人でありながら一つでもある。一人ずつ別個として存在しながらも、一共同体でもある』ということを感じました。無理に形式的に相手に寄り添わずとも、個でありつつ結びついていられるから夫婦なのかもしれません。夫婦ってなんだろうって思った時に、オススメの一冊です。
『メオトパンドラ』(ニューフォイル)
ライター:村上彩乃