誰からも「優しい人」と言われながらも少し頑固なところがあった夫と、何でもきっちり管理したがる小うるさい妻…夫がいなくなるまでは「よくある夫婦のカタチ」と思っていました。
日本の「行方不明者届」の数は年間8万件を超えるそうです。でもまさか自分の家族が、自分の夫が、そのうちの1人になるとは……
どういう想いで失踪してしまったのか……夫を“日常”に戻したのは、家族の声でした。
夫が行方不明になった日
夫の誕生日、人生が大きく変わりました。あの日、サラリーマンの夫はいつも通り「行ってきます」と言って出かけました。パート勤めの私も家事を済ませ出勤。
駅へ急ぐ私の携帯に、夫の会社から「彼がまだ会社に来ていない。連絡もつかなくて困っている」と電話がかかってきました。
夫に電話をかけるもコール音は鳴りますが一向に出ません。まじめな夫ですが、まさかどこかでサボっているのか……
最初に感じたのは苛立ちでした。「何やってるの!?」時間が経つにつれ苛立ちは怒りに変わり、責め口調で何度もメールを送るものの反応なし。
そのうち夫の母からも「息子が会社に行っていないようだ」という電話が入り、少しずつ不安になり始めます。