出産育児一時金とは? いつ申請すれば、いつ振り込まれる?
出産費用を抑えたいときに頼りになるのが、出産育児一時金。42万円ものまとまった金額を支給されます。支給されるとなると安心ですが、いったいいつ振り込まれるのでしょうか。出産前なのか後なのか、振り込まれるタイミングが気になるところですよね。いつ申請すればいいのか、申請方法も知っておきたいところ。詳しく解説していきます。
1. 出産育児一時金はいつ振り込まれる?
出産育児一時金は、いつ、いくらぐらい振り込まれるのか、支給金の受け取り方についても合わせて説明します。
いつ振り込まれる?
出産育児一時金は、上手に使えば出産費用を相殺してゼロにすることも可能なので、妊娠が判明次第すぐにでも欲しいものですよね。
きちんと申請さえ行えばわりと早い段階で受け取れるお手当となっていますが、やはりそれなりに時間を要するので、早め早めに手続きを進めましょう。
具体的には、申し込みをしてから支給を決定する通知書が届くまでに、およそ2, 3ヶ月かかります。すぐに申請したとしても、そこから1, 2ヶ月ほどかかってしまうのが普通です。
振込金額はいくら?
出産育児一時金は、健康保険から支給されるもので、一人出産するごとに、42万円受け取れることになっています。振り込まれるのは、この42万円から出産にかかった費用を差し引いた金額です。
振込金額 = 出産育児一時金42万円 -出産費用
上記の計算式のうち、出産費用には個人差がありさまざまです。出産費用として42万円に近い費用がかかった場合は、差額という形で支払われます。42万円以上かかった場合は、振り込まれる金額はなく、むしろ病院へ差額を支払わなくてはいけません。
簡単にまとめますと、以下のようなかたちになります。
- 出産費用が42万円以上かかった場合……差額を病院へ支払う
- 出産費用が42万円以下であった場合……手続きすることで差額が振り込まれる
あまりそういうことはないでしょうが、出産費用が42万円ぴったりだった場合は、病院への支払いも不要ですし、振り込まれる支給金もないということになります。
受取り方は2種類
出産育児一時金を受け取る方法は、主に「直接支払制度」と「受取代理制度」の二通り。また、例外的に「産後申請方式」というものもあります。出産を予定している医療機関が、直接支払制度を実施しているかどうかで、妊婦さんが選択できる制度が決まってきますので、まずは医療機関に確認することが必要です。
直接支払制度を利用する場合、出産後に出産費用の全額を医療機関に支払う必要がありません。出産のためにかかった費用が一時金の支給額を超えた場合にだけその差額を支払います。
受取代理制度は、出産する医療機関に手当金の受け取りを委任することで、医療機関に対して出産育児一時金が支給されるものです。
産後申請方式は、出産時には全ての費用を支払って、産後に改めて申請するというものです。
2. 出産育児一時金の申請時期と期限は?
産休をとる前後は慌ただしくて、つい大切なことを忘れがちです。出産育児一時金の申請は、いつ頃行えばいいのか、申請期限があるのかをしっかりおさえておきましょう。
申請時期はいつ頃?
出産育児一時金の申請時期は、利用する制度ごとに変わってきます。
直接支払制度を利用する場合は、出産の予約を行ったときなどに、医療機関から申請書類が手渡されるのでそれに必要事項を記入すると、あとは医療機関が直接手続きをしてくれます。申請を忘れてしまうこともありませんし、面倒な手続きを医療機関にお任せできるのがメリットです。
受取代理制度を利用する場合には、健康保険組合や市町村の役所など加入している保険の種類に応じて、自分で行います。申請時期は、出産予定日が決まったら、そこから逆算して2ヶ月前から。
つまり、出産2ヶ月前ということになります。
産後申請方式の場合は、出産が終わってから申請します。
申請期限はある?
出産育児一時金には、出産日の翌日から2年間という申請期限が設けられています。
特に、産後申請方式を選んだ場合は、忘れないように注意が必要です。出産後に全額を医療機関に支払ってしまうため、その後はどこからも申請を促されることがありませんので、申請期限をつい忘れがちになってしまいます。2年間あるからと先延ばしにせずに、退院したらすぐにでも申請してしまうように心がけましょう。
医療機関は注意喚起してくれるでしょうが、申請したかどうかまで見守ってくれるわけではありません。自己責任で申請期限を厳守して、全額きちんと受け取れるようにしましょう。
3. 出産育児一時金の申請方法は?
申請方法は、利用する制度によって変わります。おさえておくべきポイントは、申請先と必要書類。順番に解説いたします。
申請先はどこ?
直接支払制度を利用する場合は医療機関が手続きを全て代行してくれるので、申請方法としては一番楽な方法です。医療機関が用意してくれる申請書類に書き込みするだけで完了します。申請先は、代行してくれる医療機関ということになるでしょうか。
直接支払制度が利用できない場合は、出産後に支払いを終えたあとに、必要書類を自分で提出します。この場合、提出先をきちんと確認しておきましょう。
申請先は、自分が加入している健康保険によって異なります。
- 会社員や公務員の場合は、勤務先の健康保険担当部署
- 国民健康保険の場合は、市区役所や町村役場
- 専業主婦で、ご主人が会社員や公務員の場合は、ご主人の勤務先健康保険担当部署。
- 専業主婦でご主人が自営業の場合は、市区役所や町村役場
直接支払制度を利用する場合に妊婦さんが準備しないといけないものは、次の通りです。
- 健康保険証
- 申請や受取に係る代理契約書(医療機関の窓口にて締結)
- 振込先口座を記載した差額請求のための書類(出産費用が42万円を下回った場合)
受取代理制度を利用する場合は、以下の書類等を揃える必要があります。
- 出産育児一時金申請書(受取代理用)
- 母子健康手帳の写し
- 健康保険証
- 差額の振込先口座
- 印鑑
受取代理申請書とは、出産予定日まで2ヶ月となった被保険者が作成し、協会けんぽ支部へ保険者へ提出するものです。提出先は、妊婦さんが加入して(扶養されて)いる保険によって異なります。国民健康保険に加入しているなら各自治体へ、共済の場合は共済組合へ、組合健保や協会けんぽの場合は会社の担当者に提出します。
この申請書は、通常であれば受取代理制度を利用することが決まったときに、医療機関から渡されるので必要事項を記入して提出しましょう。
出産育児一時金申請書は、正しくは「健康保険出産育児一時金支給申請書」と言われるもので、申請書の様式は厚生労働省や各健康保険のホームページからダウンロードできます。
差額の振込口座は、自分の都合の良い口座を指定しましょう。
産後申請方式の場合
この方式の場合は、出産を終えて退院後に申請書などを揃えて保険者へ提出します。
- 出産育児一時金支給申請書
- 健康保険証
- 出産費用の領収・明細書の写し
- 医療機関交付の合意文書の写し
- 医師・助産婦または市区町村長の出産に関する証明または戸籍謄本など
- 印鑑
- 振込先口座
必要書類については保険者によって異なる場合がありますので、事前に保険者のホームページで確認したり、直接問い合わせるようにしてください。
まとめ
2009年10月から現在の金額になった、出産育児一時金。出産育児一時金の申請方法には、代表的な制度として直接支払制度と受取代理制度があり、出産後の申請方式を合わせると3つとなります。振り込まれるのは、請求後1〜2ヵ月後。出産日の翌日から2年間が申請期限なので、注意しましょう。
参考:
出産育児一時金の支給額・支払方法について
全国健康保険協会(子どもが生まれたとき)
健康保険法第106条の規定に基づく出産育児一時金の支給の取扱い等について
国民健康保険出産育児一時金の支給目黒区
全国健康保険協会三重支部『出産育児一時金のご案内』
27年度(日本医師会御中)受取代理届出事務連絡
厚生労働省『平成23年4月以降の出産育児一時金制度について』
厚生労働省『健康保険法第106条の規定に基づく出産育児一時金の支給の取扱い等について』
厚生労働省『受取代理制度と直接支払制度のちがい』
厚生労働省『「出産育児一時金等の医療機関等への 直接支払制度」等に関する Q&A』
出産育児一時金について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会