リノベーション費用を徹底解説!プロが教えるマンション&戸建てローン相場(事例つき)
すまいにこだわりがある人にとって、我が家を自分好みの家にすることは理想の一つ。そして、理想を叶える手段として、リノベーションは有効な手段と言えます。
ただ、リノベーションというと、どうしても金額が見えにくく、高額な買い物でもあるので不安に思う方が多いのではないのでしょうか。
今回は、リノベーション見積もりサービス『ラクリノ』を運営し、過去2000件のリフォーム、リノベーションの相談実績を持つ株式会社オノヤの鈴木文貴さんにリノベーションの費用に関するポイントを説明してもらいました。
株式会社オノヤ 鈴木文貴氏
リノベーション相場は分かりにくい?!
リノベーションの相場って皆さん分かりますか?新築住宅や自動車などの相場はすぐ分かるのに、リノベーションの相場がどのくらいなのかパッと分からないという方がとても多いです。あなたがリノベーション相場を把握しているか測るために、ひとつクイズをだしてみます。
質問:
マンションリノベーションの事例が2つあります。面積はほぼ同じです。
費用は580万円、840万円です。
840万円の事例は①、②のどちらでしょうか?
①
②
分かりましたでしょうか。おそらくかなり悩んだのではないでしょうか。答えは②が840万円のリノベーションです。「なんで?」とモヤモヤされた方。理由をご説明していきますので、安心してください。
マンションリノベーション費用の大まかな金額は、2つの数字で分かってしまいます。
①リノベーションする面積(㎡)
②面積当たりの金額(㎡単価)
①は簡単です。
あなたがリノベーションしたい住まいの面積そのままです。
リノベーション費用を難しくしているのが②の面積当たりの金額です。その難しい面積当たりの金額を分解すると図のようになります。
これだけでは、分かりにくいと思いますので、先ほどの事例に当てはめてみましょう。
見た目が素敵になったリノベーションでも、その内容の違いによって金額が大きく異なります。そのため、リノベーションの相場は分かりにくくなっているのです。図上のABCD要素を理解することが出来れば、リノベーションの相場が理解できるようになります。ここから先は、マンションと戸建てそれぞれについて、ABCD要素を一つずつ紐解いていきます。
マンションリノベーションの費用とその内訳とは
ここまでの内容をまとめてみます。
リノベーション費用の相場が分かる方程式とは
「リノベーションの費用って、大体どのくらいかかるのですか?」セミナーでの質問や個別相談で、よく聞かれます。
不動産も、車も、大体の金額はすぐ分かるのに、リノベーションの相場がどのくらいなのかパッと分からないのはなぜでしょうか。それは、費用を決定する要素が分からないからだと考えられます。
実は、リノベーション費用の相場は、方程式で表すことができます。
面積(㎡)×㎡単価
面積:リノベーションを行う部分の床面積の合計(平方メートル)。
㎡単価:1平方メートル当たりのリノベーション単価。
この方程式を使えば、相場がすぐにわかります。
もちろん、この方程式は1円単位まで正確に出すものではなく、概算を掴むことを目的としていますのでご注意下さい。
ちなみに、新築の場合は、以下のようになります。
面積(坪)×坪単価
坪単価○○円!と書いてあるチラシをよく見ますよね。新築もリノベーションも、住まいを作ることは共通なので、方程式も共通です。注意する点として、坪か㎡かで単価が異なります。㎡単価10万円は、坪単価にすると33万円になります。
新築とリノベーションの大きな違いは、工事内容に決まりがなく、パターンは無限に近い点です。これは、方程式内の㎡単価を決める要素がものすごくあることを意味します。
ここからは、マンションと戸建に分けて、㎡単価の内訳をお伝えして行きます。
マンションリノベーションの費用とその内訳とは
面積(㎡)×㎡単価
面積は物件によって、または工事したい範囲で決まるので、簡単に決まります。費用を計算するには、単位面積単価の要素がポイントとなります。では、その要素のうち、大きなものを明らかにしていきましょう。
◯㎡単価を決める4大要素
それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。
1. 面積の大小
リノベーションする面積が大きいほど下がり、小さいほど上がります。理由としては、大小関わらずほぼ同一費用がかかる工事があるからです。
キッチン、風呂、洗面、トイレ、各種申請などがあります。
また、施工面積が大きいほど施工単価も下がります。ペットボトルの水500mlの価格と、2Lの価格を比べると、500mlあたりの価格は2Lの方が安いのですが、それと同じ原理です。
2. 工事の内容
床、壁、天井を壊して作り直すのか、今あるものを利用するのかで単価が大きく変わります。仕上がり後は見えなくなる部分が多いので、相見積を取って比較した時に差額が出る大きな要因となっています。
3. 仕上げ材料
特に、仕上げ材の質が良いほど単価は上がります。例えば、フローリング。グレードによって十数万円変わったりもします。
4つの中でも、はっきりと分かりやすい部分ですが、会社ごとに割引率が異なることもあります。
4. 間取り変更
今と同じ間取りにする場合は、床壁天井をそのまま利用できることも多いので単価は下がります。
間取りを変える場合、マンションの場合はお風呂、トイレ、キッチンを移動する場合は単価は上がります。リノベーションで間取りを大きく変えるのであれば、間取プランによる差異は小さくなります。
上記を踏まえて、実際の事例から相場を掴んでみましょう。
マンションリノベーションの費用と事例
マンションリノベーション例①:
中古マンション58㎡
面積(㎡)×㎡単価
58㎡×10万円=580万円
Before
▼
After
見た目は大きく変わっていますが、間取りはほとんど変わっていません。
マンションリノベーション例②:
中古マンション70㎡(間取り変更なし)
面積(㎡)×㎡単価
70㎡×8.5万円=595万円
Before
▼
After
壁のコンクリートやタイルは、本物ではなく、クロスを使い、仕上げ材料で㎡単価を下げるように工夫しています。
マンションリノベーション例③:
中古マンション50㎡(間取り変更あり)
面積(㎡)×㎡単価
56㎡×15万円=840万円
Before
▼
After
間取りを変更していることに加え、収納のオーダー作成や、仕上げ材料グレードアップをしたことで㎡単価が上がっています。
マンションリノベーション例④:
中古マンション70㎡(間取り変更あり)
面積(㎡)×㎡単価
70㎡×14.5万円=1015万円。
Before
▼
After
こちらも間取りを変更していることに加え、引き戸のオーダー作成や、仕上げ材料を追加したことで㎡単価が上がっています。
このように、同じリノベーションでも㎡単価が異なります。間取り変更をする場合は、工事内容も床壁天井を解体することになるので、㎡単価が大きく上昇します。その分、天井をコンクリートのままにしたり、壁をコンクリート塗装にすることで、仕上げ材料費用を削減して、㎡単価を下げることもあります。
ラクリノではリノベに関する不明点などにお答えしています。
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戸建リノベーションの費用とその内訳とは
基本はマンションの場合と一緒で、リノベーション相場の方程式は以下の通りとなります。
面積(㎡)×㎡単価
㎡単価の要素もマンションと同じですが、戸建てならではの部分を中心に見てきます。
1.面積の大小
リノベーションする面積が大きいほど下がり、小さいほど上がります。戸建ての場合、全面だと面積が大きくなるため、1階のみをリノベーションをして面積を小さくするケースも多いです。
2.工事の内容
床、壁、天井を壊して作り直すのか、今あるものを利用するのかで単価が大きく変わります。戸建の場合は、屋根外壁工事、エクステリア工事、増築工事も行うケースもありますが、内部のリノベーション費用と分けて考えたほうが分かりやすくなります。
3.仕上げ材料
マンションの場合と同様です。部屋によって仕上げ材料を変えることで、㎡単価を抑える方法もよく使われます。
4.間取りを変更
戸建ての場合、間取り変更に伴い、耐震補強工事などが必要になることがあります。間取り変更をする場合は、㎡単価は大きく上昇します。
それでは、以下の条件で相場を計算してみましょう。
戸建てリノベーション費用と事例
戸建てリノベーション例①:
中古戸建87㎡(間取り変更なし)
面積(㎡)×㎡単価
87㎡×6万円=522万円
Before
▼
After
一番こだわりたいLDKは若干間取り変更を行い、その他の部分は壊さないことで、工事の内容を抑えています。それによって、㎡単価が下がっています。
戸建てリノベーション例②:
中古戸建120㎡(間取り変更なし)
面積(㎡)×㎡単価
120㎡×5万円=600万円
Before
▼
After
キッチンの位置を変更していますが、その他の間取りは変えていません。こちらも床壁天井を壊さずにリノベーションをすることで、㎡単価を抑えています。
戸建てリノベーション例③:
中古戸建90㎡(間取り変更あり)
面積(㎡)×㎡単価
91㎡×14万円 = 1274万円
Before
▼
After
間取り変更を大きく行っています。断熱工事や、収納を増やしており、工事内容を充実させています。
戸建てリノベーション例④:
中古戸建107㎡(間取り変更あり)
面積(㎡)×㎡単価
107㎡×13万円=1391万円
Before
▼
After
こちらも間取り変更を行っています。断熱工事や、仕上げ材料のグレードアップを行っており、㎡単価が上昇しています。
このように、間取り変更をする場合、㎡単価が大きく上昇します。仕上材のグレードを落とすよりも、間取りを変えない部分を増やした方が費用を抑えることが出来ます。
ラクリノではリノベに関する不明点などにお答えしています。
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リノベーション費用を少しでも抑えるには
リノベーション費用を少しでも抑える方法は、大きく分けて2つあります。
1つめは、補助金や減税を利用することです。補助金は、数万円のものから、数百万円のものまで、大小様々な補助金があります。
現在の建物の状況や、リノベーションの内容によってももらえる、もらえないがありますので、リノベーション会社へ聞いてみると良いでしょう。全国の補助金が調べられるWEBサイトも存在します。
※注意現時点では平成29年度版です。平成30年度版は7月頃から始まるそうです。どのような補助金があったのか、把握するのにお使いください。
2つめは、リノベーション内容の強弱をつけること。部屋によってリノベーションの内容を変えるということです。
例えば、「LDKは一番過ごす時間が長いので予算をかけるけれど、寝室や子供部屋は見た目がきれいになっていればよい」と決断をすれば、部屋ごとに単位面積単価を変えることが出来ます。これは、新築では出来ない、リノベーションの大きなメリットのひとつです。
リノベーションをする目的が果たせるのであれば、部分ごとに見直すことで費用を抑えることが可能になります。
住宅ローンを組むとお得になる制度
住宅ローンを10年以上の期間で借り入れをしてリノベーションをする場合、住宅ローン控除を受けることが出来ます。「年末の借り入れ残高×1%(上限40万円)」が10年間、所得税から控除されます。
年末の借り入れ残高が3,500万円だった場合の所得税還付額は以下のようになります。
3,500万円×1%=35万円
結構大きな金額です。支払を続ければ、借入残高は下がっていきますので、年々控除額は下がりますが、この場合200万円近く手元に戻ります。
利用するには、税務署へ赴いて確定申告が必要となります。2018年1~12月に引き渡しを受けた場合、2019年2~3月に確定申告をするようになります。基本は所得税から控除ですが、控除しきれない場合は住民税からも一部還付されます。
中古住宅を購入してリノベーションをする場合は、以下の条件を満たすと、購入費用も住宅ローン減税の対象となります。
該当するかどうかは、購入先の不動産会社へ相談してみると良いでしょう。
住宅ローン減税について、より詳しく知るには、こちらをご覧ください。
中古住宅購入とリノベーションの住宅ローンシミュレーション
最後に、中古住宅購入をしてリノベーションした場合の費用と、月々の支払額をシミュレーションしてみましょう。シミュレーションには、以下の方程式を使用します。
総支払額(万円)=中古住宅購入金額×諸経費倍率+リノベーション費用
諸経費倍率とは、中古住宅購入時に必要となる費用の事です。購入金額のおよそ6%~13%程度になりますが、今回は購入金額の10%として計算をします。この場合諸経費倍率は1.1となります。(中古購入金額+諸経費10%=中古購入金額×1.1)
総支払額が分かったら、返済金額早見表を使っておおよその月々支払額を算出します。
早速、やってみましょう。住宅ローンは頭金なしで35年、固定金利2.0%とします。
シミュレーション条件①
中古マンション(2000万円)購入して間取り変更リノベーションをする。
リノベーション面積:70㎡
リノベーション費用:980万円
管理費修繕費:2.5万円
総支払額(万円)=中古住宅購入金額×諸経費倍率+リノベーション費用
総支払額(万円)=2000万円×1.1+980万円=3180万円
月々支払額(万円)=3180万円×33.1=10.5万円
マンションの場合、管理費と修繕費も月々支払うことになりますので、
10.5+2.5=13万円
シミュレーション条件②
中古戸建て(2500万円)購入して間取り変更リノベーションをする。
リノベーション面積:90㎡
リノベーション費用:1350万円
総支払額(万円)=中古住宅購入金額×諸経費倍率+リノベーション費用
総支払額(万円)=2500万円×1.1+1350万円=4100万円
月々支払額(万円)=4100万円×33.1=13.5万円
すでに所有している住宅をリノベーションする場合は、リノベーション費用を総支払額として計算します。
シミュレーション条件③
所有マンションを間取り変更リノベーションする。
マンションの面積:70㎡。リノベーション費用は前述した980万円とします。
また、管理費修繕費は合計2.5万円とします。
総支払額(万円)=中古住宅購入金額×諸経費倍率+リノベーション費用
総支払額(万円)=0万円×1.1+980万円=980万円
月々支払額(万円)=980万円×33.1=3.2万円
マンションの場合、管理費と修繕費も月々支払うことになりますので、
3.2+2.5=5.7万円
シミュレーション条件④
所有戸建てを間取り変更リノベーションする。
戸建ての面積:90㎡。リノベーション費用は前述した1350万円とします。
総支払額(万円)=中古住宅購入金額×諸経費倍率+リノベーション費用
総支払額(万円)=0万円×1.1+1350万円=1350万円
月々支払額(万円)=1350万円×33.1=4.4万円
ここまで、リノベーションに関わる費用について様々な角度から見てきました。相場を知り、支払額を大まかにでも把握することで、実際に中古住宅の購入やリノベーションを進めるかどうかの判断しやすくなります。
リノベーションの相場を詳しく知りたい方は、リノベーション事例に掲載されている金額を面積(㎡)で割ってみてください。これで㎡単価が分かりますので、比較してみましょう。自分の望むリノベーションの相場が見えてきます。
もし、㎡単価が大きく異なるリノベーション事例があった場合は、4つの要素のどれかが異なっているはずです。ぜひ、リノベーションの事例写真だけではなく、㎡単価にも注目してみてください。
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