2023年3月7日 10:00
舞台人生45年を迎える和泉元彌 「今」演じたい狂言を厳選 『和泉流二十世宗家和泉元彌を観る会』上演決定 カンフェティでチケット発売
を無事に終えました。
狂言の伝承方法は650年の間変わることなく『口伝』といって師匠の真似をすることで体得していくものです。師匠は本番同様のことを演じて見せるわけです。
数ヶ月にわたり連日、稽古のために何度も何度も、繰り返し繰り返し『金岡』の謡を謡う内、改めて、その旋律の素晴らしさ、日本語の美しさ、恋焦がれ苦しむ金岡の心情、細やかな表現を『今』の自分でもう一度演じたい!と思うようになりました。
自分自身の披キ(初演)から30年以上が経った、『今』の和泉元彌で。父の演じる『金岡』に憧れていたあの頃から、成長をした自分の芸の力で。
次世代を担う跡取りの元聖が楷書の『金岡』を演じたからこそ、思えたことです。
相手役の妻を娘の采明が演じるのも、師匠としては感慨深いものがあります。
20歳ほどの内裏上臈に恋をした、稀代の絵師・巨勢金岡の恋狂いを繊細な謡という技をもって表現する大曲。48歳の和泉元彌が全身全霊で演じます。続いてご覧いただく『腰祈』では、年老いて腰の曲がった祖父(おおじ)を演じます。艶っぽく脂ののった『金岡』とは、正反対のような役を選ばせていただきました。狂言が伝えてきた演じる芸の幅を感じていただけるよう努めます。