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なぜ高齢者の熱中症は減らないのか? 熱中症対策への意識の高さと裏腹な実態

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大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区](以下、当社)は、20代~80代の700人を対象に「熱中症への対策意識および実態」について調査を実施いたしました。



調査背景―高齢者の熱中症救急搬送人員は最も多いー




図1 熱中症による救急搬送状況 総務省消防庁「令和6年(5月~9月)の 熱中症による救急搬送状況」[1]をもとに当社作成

年々夏の暑さが厳しくなり、熱中症による救急搬送人員は近年増加傾向にあります。総務省消防庁によると、令和6年5月~9月の熱中症による救急搬送人員は97,578人となり、調査を開始した平成20年以降、過去最多を記録しました。また、高齢者の熱中症による救急搬送人員は例年全体の半数を超えていることから(図1)、高齢者の熱中症は特に深刻な社会課題です。
当社は高齢者の熱中症に対する課題解決の糸口を探るべく、調査を実施いたしました。

熱中症による救急搬送人員が最も多い高齢者 実は熱中症への対策意識は最も高い



年代別に熱中症対策意識について調査した結果、高齢者(60-80代)の8割近くは室内であっても熱中症対策を意識していました(図2)。また、熱中症対策の基本である水分補給に関して、高齢者の9割近くは夏場の積極的な水分補給を意識しており、その割合は全年代の中で最も高いことが分かりました(図3)。
一方で、前述の通り熱中症による救急搬送人員は他年代に比べて高齢者が最も多く、高齢者は熱中症対策意識が高いにも関わらず、熱中症が頻発していることが分かりました。



図3 年代別の水分補給意識


図2 年代別の熱中症に対する意識

熱中症対策の基本である水分補給 実は高齢者は水分補給不足に気付いていない?



今回の調査で、高齢者の高い水分補給意識が明らかになりました。一方で、十分な水分量を補給できていると答えた高齢者のうち、実際には水分補給量が不足していた人は40.7%いることが分かりました(図4)。この割合は高齢者が全年代の中で最も高く、高齢者は水分補給量が足りていないことを自覚しにくいと考えられます。加齢に伴い、喉の渇きを感じにくくなることが知られており、これにより高齢者は無意識のうちに水分不足が生じている可能性があります。


図4 年代別の水分補給に対する自覚と高齢者の水分補給実態

「夏場、必要な水分は十分に摂れていると思う」に対して「とてもあてはまる」「ややあてはまる」と選択した人のうち、「あなたは、夏場に1日あたりの平均でどのくらい水分を摂っていますか?」に対して「~500ml」「501ml~1,000ml(1リット)」と選択した人を「水分補給不足」と分類した

一般的に高齢者は熱中症のリスクが高いとされています。加えて、今回の調査では、高齢者が水分不足を認識できない実態や、高齢者は熱中症対策意識が高いのにも関わらず熱中症を発症している可能性が示されました。これらを考慮すると、高齢者には水分補給に加えて新たな熱中症対策のアプローチが必要かもしれません。

水分補給に加え、熱中症対策で意識したい「深部体温」 深部体温へのアプローチに効果的な「アイススラリー」




図5 深部体温のイメージ

熱中症対策のアプローチの一つとして「深部体温」を下げることが挙げられます。
熱中症対策には「水分補給」と「身体冷却」が重要とされていますが、身体冷却として意識したいのが「深部体温」です。「深部体温」は脳や臓器などの身体の内部の温度を指し(図5)、深部体温の上昇は熱中症のリスクになります。
高齢者は汗をかきにくく、皮膚から身体の熱を逃がしにくいために熱が身体にこもりやすいことが知られていますが、このような特徴をもつ人にとって、身体の内部からの冷却を用いた「深部体温」を下げるアプローチが、より有効にはたらく可能性が示唆されています[3]。

近年、屋外スポーツや建築現場等では「深部体温」に着目した熱中症対策を行う選手や企業が増えています。そこで注目されているのが「アイススラリー」です。アイススラリーとは、液体に微細な氷の粒が混ざった流動性のあるシャーベット状の飲料です。当社は今まで、アイススラリーの高い冷却効率や、深部体温を低下させる効果について研究してきました(図6)。

暑熱環境下におけるアイススラリー飲用が深部体温を低下|大正製薬
夏の熱中症対策に向けてアイススラリーが効果的に身体を冷やすメカニズムを検証|大正製薬


図6 アイススラリーによる身体内部からの冷却イメージ

※n=7, 平均値±標準偏差, *p

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