2023年6月8日 10:00
イラストレーターTERU 初個展「GOOD FOR HEALTH」。"強化骨格"をテーマに、7月8日(土)より7月19日(水)まで、Anicoremix Galleryで開催
その境界線はどこなのだろう。そしてどこまで人体のパーツを入れ替えても人と呼べるのかというテセウスの船にも通ずる問いも生じる。
これらは攻殻機動隊でも重要なテーマとして描かれている。
主人公の草薙素子は「脳」以外の全てを義体化しており、自らの感性や精神(ゴースト)を人である証明としてとても大事にしている。彼女はもしかしたら自分の脳すらも人工物であり、人格をプログラミングされたマシンなのではないかという不安を抱えている。ただし作中ではその不安は解決はせず、素子自らがネットの海で誕生した人形使いという「実態のない生命体」という何とも矛盾した存在と融合し脳を含めた肉体全てを捨てたことで完結を迎えた(その後に続くストーリーはあるが「生命とは」というテーマが強く打ち出されたのはこの1巻という印象)。その後の素子は現実世界に義体を通してアクセスが可能だが、その義体の形状や種類に制限はない。
服を替えるように体を替えられるというわけだ。
あくまで私にとってはだが、この時の素子も十分に人であると感じている。
クローン技術に関してはいまだに議論の余地がありすぎるという状態だが、ならば別のアプローチはどうだろうかという思考実験、そして未来の人の在り方を考え自分なりの答えを見つけたいという表現的試みの一歩である。