【幻冬舎/著者インタビュー】『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』株式会社花咲スクール・代表取締役 大坪 智幸氏のインタビュー公開!
彼らは子どもより、自社の利益を優先しているのです。
こうした状況に対し警鐘を鳴らすこと。そして、本当の意味で「子どものためになる教育」を行うため、学習塾と保護者はどうすべきか考えてほしいと思ったことが、この本を書いた最大の動機です。
――学習塾が担うべき役割が大きくなっているというお話ですが、背景には何があるのでしょうか。
最大の原因は、学校の教育力が低下していることです。第2次ベビーブーム時代後に採用されたベテラン教師たちが、この10年ほどで大量に定年退職を迎えました。一方、学生の間に「教師は大変な仕事だ」という評判が広まったことなどが影響し、教員採用試験の倍率は徐々に低下しています。
そのため、十分な能力・資質を持たない教師が増えているのです。
例えばある公立中学校では、夏休みに「学習塾に通っている生徒は学習塾のワークを1冊、通っていない生徒は市販のワークを1冊やって提出する」という宿題が出されていました。学習塾や生徒の自主学習に丸投げするという信じられない内容で、私は唖然とするとともに、教師の質が下がっている現状を肌で感じました。
学校全体の現場対応力も、以前より落ちていると感じます。