銀座駅に世界的漫画家の作品誕生 大友克洋氏「一番苦労した作品になった」
『Procession Spin』完成披露除幕式に参加した大友克洋氏 (C)ORICON NewS inc.
東京メトロ日比谷線銀座駅に、『AKIRA』『スチームボーイ』を代表作で知られる、漫画家でアニメーション監督の大友克洋氏が原画・監修を手がけた大型パブリックアート『Procession Spin』が完成し、15日に完成披露除幕式が行われた。駅構内という公共空間に常設される本作は、縄文時代から現代、そして未来へと続く美術の流れを表現した陶板レリーフ作品で、銀座の新たな文化的象徴として注目を集めそうだ。
作品が設置されるのは、東京メトロ日比谷線銀座駅B1番出口付近。縦2.4m、横7.0mの大規模な陶板レリーフで、大友が描いた原画をもとに、パブリックアート制作工房の職人が立体作品として仕上げた。人間が長い歴史の中で生み出してきた多様な美術表現が、形を変えながら連なっていく様子を一つの画面に凝縮している点が特徴だ。
大友氏は「この作品は本当に時間がかかり、これまでの中でもおそらく一番苦労した作品になったと思います」と制作過程を振り返りながら「ただ、今回はパブリックアートということで、美術館の中ではなく街の中に設置され、きっと多くの方に直接触れていただける作品になるはずです」と充実感をにじませる。
続けて「皆さんが100円玉や10円玉を、どこかの隙間にそっと挟んでくださって、それを年末に回収しに来ようかな、なんてことも考えています(笑)」とジョークを交えながら「でも何より、楽しんでいただけることが、僕たちにとって一番の幸せです。どうぞ皆さん、この作品を愛してあげてください」と呼びかけた。
本プロジェクトは、日本交通文化協会が企画・制作を担当し、東京地下鉄の協力のもと実現。セイコーグループとメトロ文化財団の協賛を受け、公共交通空間における文化発信の新たな試みとして位置付けられている。日々多くの人が行き交う銀座駅に常設されることで、通勤や買い物の合間に誰もがアートに触れられる環境を生み出す。